今日のエルサルバドル戦に出場する鎌田大地が暗にミラン入りが濃厚であることを示唆した
今日のエルサルバドル戦に出場する鎌田大地が暗にミラン入りが濃厚であることを示唆した

名門ミラン入りを示唆した鎌田大地が挑むビッグクラブの壁

 ベスト8以降の景色を見るには、どうすればいいのか。
 直後から一人でも多くの日本人選手がヨーロッパのビッグクラブでプレーする重要性を説いていた鎌田は、この日はさらに「ただ入るだけじゃ意味がないと思う」と持論をさらに発展させている。
「いいチームまでたどり着ける選手はたくさんいたけど、そこで苦労している選手であるとか、日本人選手としてそこでなかなか成功……成功というか、難しいシーズンを過ごしている選手が多いと思うので、僕自身は壁を越えたい、という感じです」
 セリエAのペルージャから2000年1月にASローマへ移籍した中田英寿氏(46)を皮切りに、ヨーロッパのビッグクラブにおける日本人選手の挑戦も幕を開けた。
 しかし、インテルに約7年間所属し、副キャプテンも務めたDF長友佑都(36、現FC東京)を除けば、第一線で絶対的な結果を残した選手がいないのが現実だ。
 トップ下でのプレーを望んだ中田氏はローマの絶対的なレジェンド、フランチェスコ・トッティの後塵を拝し続けた。ドルトムントでセンセーショナルな活躍を演じたMF香川真司(34、現セレッソ大阪)は、2012年夏に加入したプレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドで期待された輝きを放てないまま、2014年夏にドルトムントへ復帰している。
 ミランへは2014年1月にMF本田圭佑(37)が加入。約3年半にわたって「10番」を背負ったが、出場わずか8試合に終わった2016-17シーズンをもって退団。3度目のW杯となった2018年のロシア大会には、メキシコの強豪パチューカの所属で出場している。
 2020年1月にMF南野拓実(28、現モナコ)がリバプールへ、2021年8月にはDF冨安健洋(24)がアーセナルへそれぞれ移籍。世界最高峰とされるプレミアリーグの戦いに挑んだが、南野はレギュラーをつかめないまま昨夏に戦いの舞台をフランスへ移し、冨安は昨シーズンの後半戦のほとんどで怪我のために戦線離脱を余儀なくされている。
 後に続こうとする日本人選手のために、何よりも自分自身のために、鎌田は語弊を恐れずに「難しいシーズンを過ごしている選手が多い」と語った。歴代の日本人選手が直面してきた壁を乗り越えた先に、新たな可能性が開けると信じているからに他ならない。
 今月末までフランクフルトとの契約を残す鎌田は、エルサルバドル、ペルー両代表と対戦する6月シリーズにもフランクフルト所属で招集されている。
ただ、無念の準優勝に終わったDFBポカールをもって、トータルで5シーズンにおよんだフランクフルトでの戦いに鎌田自身は終止符を打っている。
「やれることはやったけど、逆に決勝に関しては力不足だと再確認できたし、まだまだ成長しないといけないとも感じた。また次のステージで頑張りたい」

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