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右ウイングで出場した久保建英がエルサルバドル戦で1ゴール2アシストの活躍を見せた(写真:西村尚己/アフロスポーツ)
右ウイングで出場した久保建英がエルサルバドル戦で1ゴール2アシストの活躍を見せた(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

「自分の出たいポジションで最初から出たらやれる」なぜ久保建英が1ゴール2アシストと森保Jで“覚醒”し始めたのか?

 心技体のすべてが右肩上がりで充実した1年間の軌跡が、久保を内側から変えた。6月シリーズへ向けて合流した代表合宿で、久保はこんな言葉を残している。
「22歳にして自分の力でチャンピオンズリーグに出られる日本人選手は、いまのところひと握りだと思うので。代表という観点で見ても、すごくいいシーズンでした」
 もっとも、代表で結果を残せなくても自信は失っていなかった。
 例えば、カタールW杯で任されたのは左ウイング。左利きの選手が務めれば、プレーの選択肢がどうしても縦方向に限られてくる。一転して右ウイングでプレーすれば、カットインからの左足によるシュートを含めて終始、対戦相手の脅威になれる。
 実際、久保はこの日の試合後にこう語っている。
「自分の出たいポジションで最初から出たら、やれると思っていました」
 後半15分には中央へボールを持ち運びながら、対峙するマーカーの股間を通すスルーパスを右足で供給。中村の代表初ゴールをアシストした場面には「基本的に中へ切り返すときは、ほぼほぼピッチの全体が見えているので」と自信満々に振り返っている。
 十代前半を過ごしたバルセロナの下部組織で育まれた技術と自信が、紆余曲折をへて迎えた昨シーズンでさらにスケールアップ。ソシエダで残した結果や数字が日本代表でのプレーにも還元され、出場24試合目にして初めて放たれた輝きの源泉になった。
 しかも、個の力で相手を翻弄しただけではない。インサイドハーフの堂安律(24、フライブルク)や右サイドバックの菅原由勢(22、AZ)との連携でも脅威になった自身のパフォーマンスを、久保は「どちらもできるのが僕の強み」と胸を張って言い切る。
「一人で孤立していても大丈夫だと昨シーズンのプレーで証明できたし、もともとコンビネーションは僕の特徴のひとつだと思っているので。そういった意味で、同じポジションのなかでユーティリティーというものを見せられたのはよかったかな、と」
 開始早々に相手選手が退場した展開を差し引いても、後半20分にお役御免で交代した久保が記録した1ゴール2アシストは際立っていた。22歳になった直後の一戦が、代表におけるターニングポイントになるのか。こう問われた久保は再び首を横に振った。
「今回の結果は自分にとって大きいですけど、特にターニングポイントとかではないですね。いまはすごくコンディションがいいし、試合に出ればやれる自信もあるので」
 久保の言葉を補足すれば、きっとこんな思いも込められていたはずだ。ターニングポイントではなく通過点だと。3年後の次回W杯へ向けて、3戦目にして初勝利をあげた第2次森保ジャパンの中心に、いよいよ久保が居場所を築き上げようとしている。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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