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代表復帰したセルティックの古橋が完璧なヘディングシュートを決めた(写真:西村尚己/アフロスポーツ)
代表復帰したセルティックの古橋が完璧なヘディングシュートを決めた(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

「酷いレベルのチームとのマッチメイクにいろんな意見も出るだろう。しかし…」城氏が評価した森保J6-0“爆勝”の収穫点

 また三笘も、森下が積極的に上がってくるのを認めると、逆に中に入って森下がスペースを使えるように工夫していた。プレミアを席巻した縦への突破力だけではないプレーの幅の広がりを三笘も披露した。
 新戦力や代表復帰組の中でアピールに成功した一人は古橋だろう。
 所属するセルティックではMVPを獲得する活躍を見せながら代表ではフィットできなかった古橋は、後半20分から途中出場すると、28分にゴールを決めた。相馬の正確なクロスにドンピシャのタイミングでヘッドを合わせたものだが、ジャンプに至るまでの動きが素晴らしかった。相馬がクロスを上げようとボールを持つと、その瞬間、俊敏にディフェンスに対して背を向けてファーサイドへ逃げる動きを見せた。あまりにそのターンする動きが速かったので、ディフェンスからすれば、視界から消えてしまっていた。するとワンステップだけ踏んで、振り返り、マークを外したポジションで飛び上がった。セルティックで身につけた駆け引きだろう。スコットランドリーグ得点王の肩書はダテではない。
「古橋は代表ではフィットできない」のレッテルを剥がした。
 中盤でボールが回っていくときも、常に最終ラインで駆け引きを行い、ゴールを狙う動きを見せていた。だが、セルティックでは出てくるボールが、代表では出てこない。古橋自身が、中盤のプレーに絡んでいかなければ、彼の良さが生きてこないのかもしれない。
 ここが今後の課題。また三笘、旗手、堂安、久保の2列目の組み合わせと、古橋の連携も今後は見てみたい。
 一方、PKで代表初ゴールをゲットした上田は物足りなかった。彼に求められているのはポストプレーだが、その役割は果たせなかった。“ポスト大迫”が不在のままだ。もっといろんな局面に顔を出していい。可能性を持つプレーヤーだけに、その能力が発揮できていなことは、もったいない。古橋が代表で力を発揮するようになってくれば、上田とのポジション争いも激化する。チームの戦力を底上げするための相乗効果になるだろう。
 中村、フリーランニングに良さを出した川辺、プレー時間が15分と短く、どこか遠慮がちだったが、将来性のある伊藤敦樹らが経験を踏めたことも大きかったと思う。
 ただ森保監督が、カタールW杯のアジア予選でも採用していた「4-1-4-1」の攻撃的フォーメーションの評価については保留したい。この相手では評価のしようがない。結局、W杯の本番では使えなかった。ポゼッションを取られるチームや、ハイプレッシャーの中でプレーしなければならないチームとの対戦がなければ、アンカーの守田1枚のところを堂安や、旗手がどうカバーするかも見ることができない。エルサルバドルに比べて相手のレベルの上がる20日のペルー戦でも「4-1―4-1」を試してもらいたい。今まだ手堅く「勝ちにこだわる」時期ではない。
(文責・城彰二/元日本代表FW)

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