阪神「あと1人」コールの悲劇から物議を醸す2つの問題……「新守護神は誰に?」&敬意に欠く応援方法はやめるべきなのか?
過去には、他球団の応援でもあったが、今では阪神ファンの“専売特許”となってしまった「あと1人」コール。実は、日本一となった1985年当時からすでにあった応援手法。ここにきて問題となっているのは、各種のハラスメントやSNSでの誹謗中傷問題が社会問題化し、スポーツマンシップの意義などが、再認識されている時代の背景があるのだろう。
加えて声出し応援が解禁となった今季は、応援のマナーの問題が指摘されるケースが増えた。「あと1人」コールは、まだ是非を議論するグレーゾーンではあるが、巨人の「闘魂こめて」を「商魂こめて」と、揶揄する替え歌や、降板する相手投手向けての「蛍の光」など“マナー違反”の応援が問題視され、阪神は、4月16日に、こんな声明を公式サイトで出すに至った。
「球場での声出し応援が可能になっておりますが、観戦されるファンの皆様におかれましては、『選手を誹謗中傷するようなヤジ』や『侮辱的な替え歌』は絶対にお止め頂きますようお願いいたします。選手を勇気付ける声援を送り、共に『A.R.E.』を目指して行きましょう!」
古き良き時代を知る某阪神OBに意見を聞いてみた。
「あと1人コールは、私が現役時代にもあった。試合を終わらせる勢い、相手打者の冷静さを失わさせるといった雰囲気が作られていたが、逆に燃える相手選手もいたよね。同時に投手にもプレッシャーというか、投げ急ぎが起きやすい状況にもなって、あと1人コールから打たれるケースも結構あった。私の時代は、選手も、もうそれが当たり前で特に気にはならなかったが、応援にも時代の流れがあると思う。選手の受け取り方も違っているのかもしれない。各種のハラスメントや誹謗中傷問題が社会問題化している時代に応援する側のモラル、応援手段が変わってきても当然。そろそろ見直してもいいのかも。阪神の応援団が伝統の応援方法を変えれば、それはそれで大きなメッセージになるのではないか」
明らかな誹謗中傷以外の応援方法に球団サイドがあれこれ制限をつけることは難しいだろう。ただ「あと1人」コールを“公認”の応援団が、主導しているのであれば、一度、協議の場を持つ必要もあるのではないだろうか。
(文責・RONSPO編集部)