なぜ森保監督はペルー戦でも「4-1-4-1」を試そうとするのか…「コンセプトを浸透させ、どのようにレベルアップしていくかにフォーカス」
アジア最終予選では遠藤をアンカーに、守田と田中碧(24、フォルトゥナ・デュッセルドルフ)をインサイドハーフにそれぞれすえた。そろってボランチを主戦場とする選手だった点からも、実質的な3ボランチとして中盤の守備をまず安定させ、初戦でオマーン、第3戦ではサウジアラビア両代表に敗れ、予選突破に黄信号が灯った苦境からの脱出を図った。
一転して昨年6月シリーズのインサイドハーフには、鎌田や久保ら攻撃的な選手も配置された。しかし、チュニジア代表に0-3で完敗するなど、大きな不安が顔をのぞかせたなかで、9月遠征でW杯構想そのものを再考。理想より現実を直視した経緯があった。
そして、エルサルバドル戦のインサイドハーフも右に堂安、左に旗手怜央(25、セルティック)と攻撃的な選手が配置された。旗手はペルー戦でも先発し、鎌田とコンビを組むと予想されている。つまり、森保監督のなかで再び理想が追求されているわけだ。
実際、前日会見で指揮官はこう語っている。
「現時点のチーム作りでW杯を見すえているのか、あるいはアジアの戦いを見すえているのか、といった区分けはしていない。まずはチームのコンセプトを浸透させ、どのようにしてレベルアップしていくのか、といった点にフォーカスしている。もちろん目標はあるが、まずはわれわれが力を積み上げ、常にレベルアップしていくことが大切だと思っている」
所属クラブでの戦いを介して、選手たちが成長した点も大きい。
例えば長らく伊東の一択状態だった右ウイングに、ソシエダで充実したシーズンを送った久保が台頭。エルサルバドル戦で1ゴール2アシストと結果を残した。久保はインサイドハーフでもプレーできるし、そこへセルティックで活躍した旗手も加わった。カタールW杯で2ゴールをあげた堂安、名門ミラン入りが秒読みに入った鎌田も腕をぶす。
3月シリーズから左ウイングで群を抜く存在となり、ペルー戦でも先発が予想される三笘薫(26、ブライトン)を含めて特に中盤がレベルアップ。選手層も厚くなった日本の現状も[4-1-4-1]への再トライを後押しした。森保監督はさらにこう語る。
「いまは各ポジションに力のある選手たちが多い。もちろん彼らの競争を見ながら、同等の力を持つ選手たちを各ポジションに少しでも多く準備していけるチーム作りをしていきたい。これからさらに力をつけていく上で、誰が出てもチームとして機能して、システム的にも選手の組み合わせとしてもより多くの選択肢を持てるチームにしていきたい」
期待を込めた視線は、最前線の選手にも注がれる。