なぜ森保監督はペルー戦でも「4-1-4-1」を試そうとするのか…「コンセプトを浸透させ、どのようにレベルアップしていくかにフォーカス」
昨シーズンのスコットランドリーグで27ゴールをマーク。得点王とMVPの個人タイトルを引っさげ、昨年9月以来の代表復帰を果たしたFW古橋亨梧(28、セルティック)は、エルサルバドル戦の後半28分に約2年ぶりとなる代表でのゴールを決めている。
右サイドからのクロスに対して、相手センターバックの前にポジションを取っていた古橋は次の瞬間、素早く反転して相手の背後へ。セルティックで磨き続けた、マーカーの視界から消える特異な動きでノーマークの状況を作り出し、完璧なヘディング弾を決めた。
古橋の代表4ゴール目にもたらされる効果に森保監督も目を細める。
「結果が出たことで、あの形を他の選手たちも認識している。周りの選手たちがチームとして、彼のよさをさらに引き出そうとしているのを感じている」
右足を痛めてチームを離脱したが、エルサルバドル戦では上田もPKを決めて出場15試合目で代表初ゴールをマークした。浅野拓磨(28、ボーフム)や前田大然(25、セルティック)を含めて、1トップをめぐる競争も激化してくるだろう。
代表史上で初めてW杯後も続投した森保監督に対して、キャプテンとして第1次政権を支えたDF吉田麻也(34、シャルケ)は、長期政権にもたらされるメリットとデメリットに言及したことがある。特にデメリットに対しては、次のように心配していた。
「長くなるほどマンネリ化や、選手の固定化が懸念されると思う」
森保監督は第1次政権でも、選手起用や交代、システムを含めた戦い方が「代わり映えしない」と批判された。その意味でも道半ばで封印した攻撃的な[4-1-4-1]へ、選手を入れ替えながら再び挑戦し始めた現状は、プレーする選手たちにも大きな刺激を与える。
前半開始直後に一発退場者が出た関係で、エルサルバドル戦では[4-1-4-1]の効果を確認しづらかった。だからこそ、最新のFIFAランキングで21位と、日本の20位に肉迫するペルーとの90分間は、3年後の次回W杯へ向けてさまざまな収穫をもたらしてくれそうだ。
(文責・藤江直人/スポーツライター)