「最後まで戦えたことが財産に。チーム力がついた」横浜DeNA三浦監督が日ハムに延長で敗れ交流戦初Vが持ち越しになっても手ごたえを感じた理由とは?
指揮官もまた流れを逃さない執念采配を見せた。
6回二死一、二塁でソトに代えて代打の楠本を告げたのだ。左の上原から右の杉浦に代わっていたこともあったのだろうが、大胆な采配だった。
楠本は四球を選び、3試合ぶりにスタメン起用していた大和がセンター前へ同点タイムリー。
「ファーストストライクから積極的にいこうと決めていた」という。
7回には、河野のバント処理ミスもあって無死満塁とするとキャプテンの佐野がセンターへ勝ち越しの2点タイムリー。一塁ベース上で雄叫びを上げた。
残り2イニングを伊勢―山崎の勝利方程式で逃げ切るだけだったが、その伊勢がフォークが落ちず制球を制御できない。2つの四球を与えるなどして無死満塁のピンチを背負い、元中日のマルティネスに同点タイムリーを浴びてしまう。さらに無死一、三塁とピンチが続いたが、ここで投入されたエスコバーが、後続を断ち切り、8回には、ハマスタを騒然とさせる“幻の2点勝ち越し事件”が起きる。
二死二、三塁で宮西が蝦名に1-2から内角へ投じたスライダーがワンバウンド。伏見が止めきれずボールがバックネットへ転々とする間に2者が相次いで生還したのだ。場内は思わぬ勝ち越し劇に盛り上がったが、伏見と日ハムベンチが抗議。審判団が、マウンド付近に集まって協議した結果、責任審判の木内球審が場内アナウンスで「ただいまの投球に対しまずスイングのリクエストがありましたが、一塁塁審はノースイング。打者は足にボールが当たっていましたのでヒット・バイ・ピッチ(死球)。走者を戻して、2アウト満塁で試合を再開させます」と説明した。
審判が、メジャー用語のヒット・バイ・ピッチという言葉を使ったため、うまく伝わらず場内は、しばらくざわついた。ビデオを見ると確かに蝦名の左足の先にボールが当たっていた。
二死満塁で再開となったが、その前の打席でタイムリーを放っている佐野が捕邪飛に倒れて、幻の2得点を再現できなかった。
回跨ぎをさせたエスコバーが9回もピシャリと抑えて、サヨナラ勝利へ流れを引き戻そうとしたのだが…3つ目の誤算が待ち受けていようとは、誰も想像できなかっただろう。
「こういうこともある。セットアッパーとクローザーが打たれたのだから仕方がない」
三浦監督は誤算の“切り札”を責めることはしなかった。
「みんながカバーしたと思う。なんとかしのいでしのいで、つないでつないでね」