なぜ横浜DeNAは球団初の交流戦優勝を果たせたのか…三浦監督が浸透させた「アグレッシブ」
横浜DeNAが20日、球団初の交流戦優勝を決めた。優勝を争っていた楽天がヤクルトに0-13で敗れたため、11勝7敗で横浜DeNA、ソフトバンク、オリックス、巨人の4チームが並ぶ大混戦をTQB(得点/攻撃イニング)-(失点/守備イニング)の差で制した。ソフトバンクを除く5カードに2勝1敗と勝ち越しての栄冠。三浦大輔監督(49)は「一丸となり戦った結果」と総括した。指揮官が、キーワードにしてきたのは「アグレッシブ」という言葉。なぜ横浜DeNAは、悲願の優勝を果たすことができたのか。
「歴史に名を残すことができ誇りに思う」
1日遅れで待ちに待った朗報が届いた。
勝つか引き分けで優勝が決まっていた18日の日ハム戦は、延長10回にもつれこむ激戦となったが、守護神の山崎が、万波に手痛い決勝本塁打を浴びて3-4で敗れていた。
自力Vがなくなったものの、対象チームの楽天が、ヤクルトに0-13と大敗したため、21日の楽天―中日戦を待たずして横浜DeNAの優勝が決まった。楽天が優勝するには連勝&30点差以上の得点という高いハードルがあったため、横浜DeNAの優勝は、ほぼ確実とされていた。
球団広報を通じて、南場智子オーナーは、「選手をはじめチームの皆さん、そしてファンの皆様、交流戦優勝おめでとうございます。最後の一戦の悔しさも含め、交流戦「優勝」をかけて戦った経験を糧とし、心を一つにして今シーズン戦い抜きましょう」とコメント。
三浦監督も、栄冠を手にした感激をこんな言葉で伝えた。
「球団初となるセ・パ交流戦での優勝、そして交流戦の歴史に横浜DeNAベイスターズの名を残すことができ誇りに思います。選手、コーチ、チームスタッフならびに、球団関係者が一丸となり戦った結果だと思います。そして、ファンの皆さまの熱い、熱いご声援がチームに力を与えてくれたおかげで優勝することができました。リーグ戦再開後も一緒に戦っていきましょう!ヨ・ロ・シ・ク!!」
広報コメントも得意のフレーズで締めていた。
なぜ横浜DeNAは交流戦を制することができたのか。
セ・リーグの某スコアラーは、「打線はリーグナンバーワンの得点力。上位打順が固定されている上に、序盤戦は今季大成長した6番の関根が嫌らしくむちゃくちゃ効いていたが、交流戦で、2番、そして1番に上げて、これが機能した。横浜DeNAの打者は揺さぶりにも崩されず技術力が高い。簡単に言えば、牧や宮崎に代表されるように軸がぶれない。加えて積極性があるのが特徴。最初から甘くいけないので、ボールが先行してストライクを取りにいったところを打たれるという悪循環を相手に作らせている」と分析した。
交流戦のチーム得点80は、ソフトバンクの86に次いで2位、チーム打率.258は4位の成績で、自慢の打線は威力を発揮していた。交流戦の序盤は1番・佐野、2番・関根、3番宮崎、4番牧、5番ソト(オースティン)が機能。6番の桑原がアクセントになっていた。宮崎にアクシデントが発生したため、8日のソフトバンク戦から、佐野を3番で起用。代役の1番は梶原、大田と試行錯誤したが、10日のオリックス戦からは、1番に関根を起用し、これがまたはまった。4番の牧が交流戦の打率.380でランキング3位、打点13は8位、5番の宮崎が打率.345で9位、打点15がソフトバンクの近藤に並んで2位につけるなど、主軸が好調をキープしているから、打線に波がない。終盤に桑原が故障で離脱したが、大きな影響も出なかった。
三浦監督は「つなぎ」「アグレッシブ」というワードを浸透させた。
巨人の優勝を阻止するために、絶対に負けられなかった18日のロッテ戦では、WBC戦士の佐々木朗希から、4回に1番の関根がファウルで10球粘って四球を選び、楠本がバントで送り、佐野が最低限の進塁打で三塁へ進めて、フォークを投げにくいシチュエーションを作った上で、牧が同点タイムリーを放った。まさに「全員でつないで」もぎとった1点だ。