なぜ横浜DeNAは球団初の交流戦優勝を果たせたのか…三浦監督が浸透させた「アグレッシブ」
交流戦の本拠地の開幕シリーズでは、1998年の日本一チームを支えたレジェンドが集まり、始球式や当時の名シーンの再現などのイベントが行われた。
権藤博氏が率いた1998年のベイスターズは、マシンガン打線と呼ばれる強力打線が売りだった。コーチとして入閣している石井琢朗と鈴木尚典に、ローズ、駒田徳広、谷繁元信らが打ちまくった。交流戦を制した2023年型の打線には、1998年のマシンガン打線に匹敵する破壊力がある。
三浦監督は、「監督公認の令和版マシンガン打線でいいか?」と質問され「つながりは、令和版でいいんじゃないですか。走塁でアグレッシブにつながっている。でも、私の公認といわれるとねえ。笑。ファンに認めてもらえるかどうか。認めてもらえるようにがんばっていく」と返答した。
三浦監督が、口を酸っぱくして唱える「アグレッシブ」には、次の塁を狙うという積極走塁、バッテリーの配球も含まれている。チームに植え付けた「攻める姿勢」がプラスの連鎖を生んでいる。
前出のスコアラーがさらにこう続ける。
「打線に加えて交流戦で投手力が整備されたのが大きい。先発の枚数は余るくらいいるところに、バウアーが日本の野球に順応してきた。しかも、中4、中5で回るので、計算が立つ。西武の高橋、オリックスの山下といった好投手を攻略したゲームは、いずれもバウアー。得点を与えずにプレッシャーをかけることで好投手も余裕をなくす。そういう投打のバランスの良さが、交流戦の優勝につながったのでは」
交流戦前のチーム防御率は、3.59だったが、交流戦では2.93と改善した。
全体で4位の数字。特にサイヤング賞投手のバウアーが3戦3勝で、交流戦防御率1.50と日本野球に順応したことが大きい。
ライバル球団の007が証言するように3日の西武戦では、1.69でパの防御率トップに立っていた高橋光、9日のオリックス戦でも、売り出し中の“剛球”山下を打線が攻略したが、いずれもマッチアップしたバウアーが好投を続けてプレッシャーをかけた。佐々木朗希と対峙した18日のロッテ戦も石田が5回を1失点で踏ん張り、リードを奪うと、森原、ウェンデルケン、伊勢、山崎のリレーで守り切っている。
交流戦の最終戦後に三浦監督は、こんな話をしていた。
「全員で優勝を意識した中で最後まで戦えたことはチームの財産になる。レギュラーシーズンに戻ってもチーム力がついている」
2.5ゲーム差で追う首位の阪神を追い抜く手ごたえがある。
攻守に起きる致命的なミス、打率.231、4本塁打と調子が上がらないソト、登録を抹消されたオースティンなど、打つ方の外国人の問題、まだ絶対的な信頼はおけないブルペンの整備などの課題も残っているが、勢いはある。
レギュラーシーズンが再開する23日からは、勝率7割を超えるハマスタで、その阪神との首位攻防戦。今季は、2勝6敗と分が悪いが、その2勝はハマスタでマークしたもの。過去17年で交流戦で優勝したチームがリーグ優勝を制したのは8度。昨年はヤクルト、一昨年はオリックスと、ここ2年は、交流戦優勝チームがペナントレースを制している。
交流戦Vの勢いをどうつなげるか。
キャプテンの佐野が、球団を通じて、こんなメッセージを届けた。
「まだまだシーズンは続くのでリーグ優勝を目指してチーム一丸となって戦って行きたいと思います。リーグ優勝してファンの皆様とともに喜び合うことができるよう頑張っていきます」
(文責・RONSPO編集部)