なぜ阪神の岡田監督は審判のハーフスイングの判定に激怒したのか…首位攻防戦の敗戦の中で先を見て打った布石と“間接的”メッセージ
ひとつは、今後を見据えての審判団へのプレッシャーである。
岡田監督は、この日のぶら下がりで、そこまで言及しなかったが、オリックスの監督時代に、こんな話をしていたことがある。
当時はリクエスト制度のなかった時代だ。
「オレが抗議するやろ。その試合が終わったら、フロントが、審判室を訪ねて、丁寧に“今日は、うちの監督が抗議して申し訳ありません。ところであのプレーはどうだったんでしょうか”と下から出て話しにいくんよ。提訴とかそんなんじゃなくてな。現場が鞭、フロントが飴やな。すると審判に、このチームは、ちょっと気をつけなあかんなと、プレッシャーがかかるんよ。それが、大一番の判定に影響を与えるものよ」
結局、当時のオリックスのフロントには、そこまでの知恵が回り、監督の意図をくみ取る人材がいなかったため審判室を訪れるようなことはなかった。
岡田監督が、この日、審判の判定に不服をぶちまけたのは、この先の戦いを見据えて、審判団にプレッシャーをかけたのである。
岡田監督は、ただでは転ばない。首位攻防戦の敗戦の中でも先を見て布石を打った。理想をいえば、今日24日の試合前にも、フロントが審判団を訪問して、岡田監督の発言をフォローしておかねばならない。
そして、もうひとつの意図は、最後のコメントに込められていた。
「1球で変わるんよ野球は。それぐらい厳しいんよ」
エースの今永を向こうに回し、1点差ゲームが予想された中での1球の重みをチームへ伝えたかったのである。
8回二死一、二塁からライト後方を襲ったノイジーの打球は、好守にはばまれた。希望の残るスイングではあったが、3番のノイジーと5番の佐藤がノーヒットに終わるなど、彼らの不振は深刻で打線は上向きにならない。だからこそ1球の選球が重要になってくる。選手を責めたりせず、あえて審判に矛先を向けて、間接的にメッセージを送ったのだ。
元々、ビーズリーと今永のマッチアップは、勝利の計算できるゲームではななかった。本当の勝負は、伊藤将と東の対戦となる今日24日の第2戦と、才木とバウアーのマッチアップとなる25日の第3戦である。
(文責・RONSPO編集部)