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1m79の長身サウスポーの下町(右)がリーチを生かしたボクシングを徹底し日本スーパーバンタム級王座を獲得した(写真・山口裕朗)
1m79の長身サウスポーの下町(右)がリーチを生かしたボクシングを徹底し日本スーパーバンタム級王座を獲得した(写真・山口裕朗)

ベルトを死守して那須川天心を迎え撃つ?!1m79の長身サウスポーの下町俊貴が大差判定勝利で日本スーパーバンタム級王座を獲得

 4月に1位の石井との王座決定戦が決まっていたが、石井の目の不調で中止になった。王座決定戦のオプションは、グリーンツダ側にあり、本来であれば大湾戦は、ホームの大阪で開催したかったが、2か月以内の期限内では、興行も打てず入れ込んでもらえる大会も見つからなかった。悩む本石会長に下町は、「後楽園でやりましょう」とあえてアウエーに乗り込むことを進言した。
 大橋秀行会長の好意があって今回のタイトル戦が実現、大阪からは、約150人の応援団が駆けつけ、アウエーの雰囲気もまったくなかった。

 一方の大湾は、意外にサバサバとした表情だった。
「相手の作戦通りじゃないですか。やる前から倒すシーンが想像できなかった、空回りするという気持ちと、やればどうにかなる、という気持ちで戦い、ああいうボクシングになった」
 自慢の一撃必殺のパンチは空回りした。
 5回に右ボディから右フックの強烈なコンビネーション。9回には左フックをガツン、ガツンと2発当てたが、会心の当たりではなく、下町をプレスで詰めていくプランは、実行できなかった。
 実は、約1か月前の走り込みキャンプで両足を痛め、ガチのスパーリングは、たったの3ラウンドしか消化できなかった。一時は、試合の辞退も考えたが、志成ジムのエースであるWBA世界スーパーフライ級王者の井岡一翔の「チャンスはものにしなきゃダメだ」の言葉に背中を押されてリングに上がった。
 大湾は、言い訳をしなかったが、満足のいくステップインはできずにパンチを封印され、悔しいプロ2つ目の黒星を喫することになった。
「ゼロからの出直しです」
 大湾は、沖縄からかけつけた父親や、同じく沖縄出身で応援にかけつけてくれたジムメイトの元WBC世界ライトフライ級王者の比嘉大吾らにそう誓った。

 下町の次戦は、一度延期となった同級1位の石井との指名試合が濃厚。
「これからも負けられない。でも今日試合をやってランカーがめちゃくちゃ強いことがわかったので、先のことは考えたくない」と、下町は、遠慮気味に言うが、本石会長は、壮大な構想を抱く。
「まずは指名試合を乗り越えることですが、その先には、東洋やWBOアジアの統一戦。この階級には那須川天心選手もいるので、もっと成長してベルトを守り続ければ、那須川選手の挑戦を受けることもできるかもしれません」
 那須川は、この9月にボクシング転向第2戦を迎えるが、本田明彦会長は、来年には、日本あるいは地域タイトルに挑戦させたい考えを持っており、もし下町がタイトルを死守していれば、下町vs天心が実現する可能性もあるだろう。
 それでも下町は「那須川選手?やばいでしょう。フィジカルを比べると。まだまだ鍛えないと」と、引き気味に話して控室を笑いに包みこんでいた。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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