なぜ大谷翔平の球宴本塁打競争辞退を示唆したエ軍ネビン監督は登板には「彼次第」「ノーとは言えない」と“リアル二刀流”に含みを持たせたのか?
メジャーリーグ機構は29日(日本時間30日)、オールスター戦(7月11日=日本時間12日、シアトル)のファン投票により選出された両リーグのスタメンを発表、エンゼルスの大谷翔平投手(28)がア・リーグのDHでスタメン出場する。今後の注目は、2021年以来のリアル二刀流と本塁打競争への参加問題。フィル・ネビン監督は、本塁打競争の辞退を示唆したが、登板については「彼次第」「ノーと言えない」と“許可”を与えた。大谷はどんな決断を下すのか。選手間投票と大リーグ機構の推薦によって選出される、投手と控え選手は7月2日(日本時間3日)に発表される。
「私は大谷の本塁打競争問題に神経質になっている」
当然? いやショック? 大谷が米球宴の本塁打競争を辞退する方向であることをネビン監督が示唆したニュースが、日米のオオタニファンに衝撃を与えた。地元紙のオレンジカウンティレジスター紙など、複数のメディアが、指揮官のコメントをこう紹介した。
「彼はすでに『(本塁打)ダービーに出ない』と話していたと思っていた。彼が、言ったのか、言っていないのかは分からない。ただ選手たちは(本塁打競争に出ると)多く(の体力)を削られてしまうように感じている。このフォーマットは、リーグから気に入られることはないだろうが、見るのは楽しい。だが、多くの選手たちが、そこから立ち直ってくるところをあまり目にしない。彼が出るのか出ないかについては彼の判断を支持する。彼は大丈夫だろうし、体もケアをするだろう。ただそれらのことは、私を神経質にさせている」
米球宴での本塁打競争は、選抜された8人が、1対1で、4分間、球数制限無しの中での本塁打数を争うもの。1回戦、準決勝、決勝と進めば、計3ラウンドもフルスイングをハイテンポで続けねばならず、肉体的なダメージは相当のものとなる。大谷は、2021年の球宴では、本塁打競争には出場、1回戦で28本を打ったが、31本のファン・ソトに敗れた。過度なスイング量に、何度も「疲れた」と、嘆いたほど、肉体的な負担が大きく、後半戦にしばらく影響を与えた。昨年は出場を辞退。大谷だけではなく、ケガなどのリスクなどを考慮してアーロン・ジャッジや、ゲレーロJrらも辞退していた。
スポーツメディアの「クラッチ・ポイント」は、ネビン監督のコメントを紹介しつつ、「大谷は、2021年にコロラドで開催された本塁打競争に出場したことがあり、当時ナショナルズのソトに1回戦で敗れた。もちろん、そのシーズンに大谷は、MVPを獲得したので参加したことが彼に大きな影響はもたらさなかったように思える。だが、昨年ドジャースタジアムで開催された2022年の球宴では参加しなかった。今回、エンゼルスはプレーオフを狙っていることから、大谷の本塁打競争参加はより大きなリスクが伴う。ファンは大谷の参加するところを見たいだろうが、実現しないかもしれない」との見解を示した。
そして、もうひとつの注目点が、2年ぶりのリアル二刀流の実現だ。
推薦によって選出される投手部門で、大谷が選ばれることは、ほぼ確実視されている。ネビン監督は、その登板についても、こう言及している。
「彼次第だ。WBCで言ったように、これは特別な時間となる。もしそれが彼の望むものであれば、私はノーとは言わないだろう」