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青森山田高校の監督から転身した黒田監督がJ2町田の快進撃を生み出している(資料写真・松尾/アフロスポーツ)
青森山田高校の監督から転身した黒田監督がJ2町田の快進撃を生み出している(資料写真・松尾/アフロスポーツ)

「クレームをつけられる理由はない」ロングスローにブーイングが飛び交うなどプレースタイルに賛否起きたJ2町田がJ1横浜F・マリノスを4-1で破る金星を挙げた理由とは?

 1月の始動時から「勝つ、イコール、守れる」にこだわってきた。目標を具現化させる手段としてハイプレスや球際の激しさ、カウンターなどの細部を追求してきた。システムも4バックをベースにしながら、戦い方の幅を広げるために3バックも準備してきた。
25試合を終えた段階で、東京Vに勝ち点10差をつけて首位を独走しているJ2リーグでは最少の17失点。マリノスを1失点に封じた天皇杯3回戦でも、前半の被シュート数をゼロ本に、反撃に転じられた後半でも4本に抑えた堅守が勝利を支えた。
しかもマリノス戦では宇野をはじめ、リーグ戦でなかなか出場機会が得られない選手が先発を占めた。昨シーズンのJ1を制し、今シーズンも首位に立つマリノスから奪った金星はイコール、黒田監督の“イズム”がチーム全体に浸透している証でもある。
 球際が激しすぎたゆえに、マリノス戦では前半だけで4度も警告を受けた。29分にイエローカードをもらったMF高橋大悟(24)は、清水エスパルスから新加入した町田で目の当たりにしている、隅々にまで脈打つ勝利と細部にこだわる姿勢をこう表現する。
「僕から言えるのは、僕たちはとにかく勝つために必死だし、だからと言って悪い思いを抱いてプレーしている選手は誰もいないということ。見ている方々がどのように思っているのかはわかりませんけど、家族や友人など大事な人たちのために、何よりも町田というチームのために戦っているチームメイトたちを、僕は誇らしく思っています」
 週末に待つリーグ戦をにらみ、ともにターンオーバーで先発メンバー全員を入れ替えたマリノスのケヴィン・マスカット監督(49)も完敗を認めた。
「メンタルの準備ができていなかった上に、姿勢、技術、戦術のすべてで上回られた」
 2012年と2015年にマークした天皇杯におけるクラブ最高位の4回戦に、サッカー界を驚かせる快勝で並んだ。これまでの過程だけでなく、これから進んでいく道のりにも大きな自信を得た町田は悲願のJ1初昇格を目指して、独走街道をさらに加速していく。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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