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7.25有明で初の世界戦に挑む清水聡(中)、大橋会長(左)、松本トレーナー(3人)(写真・山口裕朗)
7.25有明で初の世界戦に挑む清水聡(中)、大橋会長(左)、松本トレーナー(3人)(写真・山口裕朗)

7.25有明で注目の五輪メダリスト世界戦…「当たれば頭蓋骨を破壊する」“井上尚弥級”清水聡の“幻の左”は炸裂するのか?

 プロボクシングのWBO世界フェザー級王者、ロベイシ・ラミレス(29、キューバ)に7月25日に有明アリーナで挑戦するロンドン五輪銅メダリストで元OPBF東洋太平洋、WBOアジア・パシフィック・フェザー級王者の清水聡(37、大橋)が17日、横浜の大橋ジムで練習を公開した。ロベイシもロンドン五輪、リオ五輪と続けて2階級で金メダルを獲得した元オリンピアン。参謀の松本好二トレーナー(53)は「当たれば頭蓋骨を破壊するほどのパンチ力があり、予想もつかない左が出るかどうか」と、長身から打ちおろす清水の“幻の左”の炸裂が不利と予想されている勝負のカギを握ることを明かした。

「世界最高峰の戦い」 

 世界でもあまり類を見ないメダリスト対決。
 ロンドン五輪のバンタム級銅メダリストの清水が、ロンドン五輪フライ級、リオ五輪バンタム級で連続金メダルのロベイシを、井上尚弥(大橋)対スティーブン・フルトン(米国)のWBC&WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチのセミファイナルという大舞台で迎え撃つ。
 マッチメイクが難しいフェザー級の世界戦を実現した大橋秀行会長が、こう期待を寄せる。
「アマのメダリストの技術力はプロより上だという認識がある。井上尚弥が注目されるけど、それ以上のボクシングの凄さが出せる試合になると期待している。世界最高峰の戦いになると思う。清水は本番に強い。舞台が大きくなればなるほど力を出す。楽しみだね」
 公開練習は約2分間、シャドーボクシングだけで終わらせた。フルトンが41秒、井上が30秒と、今回は、煙幕を張る公開練習の流れがあるが、大橋会長が指示したわけではなく、夕方から最終調整を行うため「体力を温存しておきたい。いいですかね?」と、清水自身が希望しての形だけの公開練習となった。「本当はリング上で座禅をしようかなと思っていたんですよ。心を無にするイメージトレーニング」。清水は、そう言って笑った。
「1週間前にスパーを終え、ケガもなく順調に仕上がっている。気持ちは、五輪前、プロデビュー前と変わらない。毎回、全力でやっている。ただ、いつもより色々と試行錯誤してやっている。どんな選手にも弱点はある。完璧な選手はいない。最近見つけたわけではないが、試合中に見つかるかも」
 清水が身長1m79でラミレスが1m65。両者には、体格差がかなりある。
 清水も「長所を生かしたい」と言い、大橋会長も「打ち下す角度がある」と主張した。
 参謀の松本トレーナーは、ラミレス攻略のイメージをこう抱く。
「ロベイシは、まだプロのフィジカルとしては1級品になりきっていない。つけいる隙はある。体格、フィジカル、パンチ力は清水が上。身長があるので距離を取って戦うとロベイシは思うかもしれないが、くっついてゴチャゴチャのボクシングができる。そこで誤作動を起こさせる。序盤にプレッシャーをかけて疲れさせ、11、12ラウンドはさすがに相手も頑張るだろうから、中盤の8、9、10ラウンドに倒しにいきたい」
 フィニッシュブローとして想定しているのは“幻の左”だ。
 デビュー時から「ダイヤモンドレフト」と名付けられた、そのパンチ力を松本トレーナーは、こう評した。
「異質で硬いパンチ。おでこに当たっても頭蓋骨を破壊するくらいの威力がある。今までミットを持ってきた中で1、2を争うね。あのパンチを出せたらヘビー級のボクサーでも倒れる。(井上)尚弥はスピードがある上に破壊力があるが、清水のパンチ力と比較できるのは、その尚弥ぐらい」
 加えて「へんてこなタイミングで打つ。ミットを受けていても予測できない。でも本人はえ?と気づいていない」という独特のタイミングがあるから、さらに、その左の当たる確率が高まることになる。
 ただ4年前にジョー・ノイナイ(フィリピン)の持つWBOアジア・パシフィック・スーパーフェザー級王座に挑戦して6回にTKO負けを喫し、両眼窩底・両眼窩内など計4カ所を骨折して、ブランクを作って以来、スパーリングでも、その左のパンチが出なくなってきた。

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