なぜ那須川天心の「9.18有明」ボクシング転向第2戦にKO率77%の危険な無敗の新鋭メキシカンが選ばれたのか…アマ時代の井上尚弥を2度下したボクサーにも勝利したパンチャー
本田会長は、「総合的な体力がキックとボクシングではまったく違うんだよね。技術的にはすでに通用するけど、世界タイトルへいくには、その部分が足りない。でも天心は、基本的な体力があり、体幹、内臓も強い。伸びしろが凄くて、トレーナーも驚いている。すべてにおいて学習能力が高い。今は倒しにいくボクシングをやっているが、すでにだいぶつかんできている」と天心の進化を評価した。
また通常は、6回戦で2勝しなければA級の8回戦に上がれないが、今回の試合は、特例で8回戦として認められることになった。
「マジか?と思った。特例にふさわしいような試合しなきゃいけない」
2戦目が、特例の8回戦となったことで、この試合をクリアできれば、次に国内タイトルへの挑戦が可能になる。
会見では、「タイトルマッチ。そういう価値のある、誰もが認める試合もしていきたい」と明かした。ただ今回の試練のマッチを乗り越えた次に日本や地域タイトルに挑戦したいわけではない。天心自身の中でタイトル挑戦のルールを決めているという。
「そろそろ(タイトル挑戦という気持ち)はない。まだ経験を積んでいかなきゃいけない。今やって勝てるのかなという段階ではやりたくない。絶対にいけるという僕の確信、チームの確信がとれた時にやる。早く、早くとみんなが求めるし、僕自身、焦りを感じてないわけではない。期待されているものはすぐにやりたいと思っているが、パっとはできない。時間をかけて作りこむことが必要。あと2か月あるが、最高潮が見えるような試合をしたい」
チャンピオンメーカーである本田会長が描く青写真も「来年末までに日本人の中でトップに立っている」というもの。「そこでタイトル戦ができるのがちょうどいいが、それよりも強くなることが大事」とのプランを立てている。
第2戦まで残り2か月。陣営では、米国ラスベガスに渡ってのスパーリングと帰国後は、外国人パートナーを呼んで強化することを計画している。
「人間は毎日、進化していかなくちゃいけない。それを体現してみんなに見せたい。“格闘技をやろう”と思わなくていいんで、“なんかがんばんなきゃな”と思ってもらえる試合を見せなければならない」
天心は、そんな心のメッセージで第2戦目の発表会見を結んだ。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)