“球界大御所”が考える侍ジャパンの次期監督は?
短期決戦に強く、栗山監督と同じくモチベータータイプの監督で“本命”と称される工藤氏は、広岡氏が西武監督時代にドラフト指名した“愛弟子”。ソフトバンク監督時代も機会がある度にアドバイスを送っていた間柄で「よく勉強している」と評価してきた。
工藤氏の決定報道が先行し、一方で「候補から消えた」などの情報も流れている状況だけに、広岡氏が、ここで工藤氏を強力プッシュする声を上げても、おかしくなかったが、あえて、そうはしなかった。
「工藤が監督をして今回に相当するメンバーを集めることができるのであれば、3年後のWBCで続けて優勝することはできると思う。彼なら栗山くらいの采配はできる。ソフトバンクでも、豊富な戦力を最大限に生かして5度日本一になった。3年後にWBCで優勝することが最大の目標であれば工藤だろう。ただ工藤自身は、弱いチームを再建して強くするという野球をやったことがない。彼には侍ジャパンではなく、プロ野球の監督として再登板し、今度は弱いチームを強くするという難しいミッションに取り組んで欲しいのだ。今侍ジャパンの監督をやることは彼にとってプラスにはならない」
次期監督の任期は、2026年春に予定されている第6回のWBCまでとされている。広岡氏は、“親心”から工藤氏のプロ野球での監督再登板機会が失われるのではないか?と危惧しているのだろう。
侍ジャパンの歴代監督を第1回のWBCで優勝を飾った王貞治氏からカウントすれば、星野仙一氏、原辰徳氏、山本浩二氏、小久保裕紀氏、稲葉氏、栗山氏と受け継がれてきた。新監督の船出は、11月に東京ドームで開催されるアジアプロ野球チャンピオンシップが予想され、今月末には正式決定される方向。スポーツメディアが候補として報じている人達の中から選出されるのか、それともまったく意外な人物が浮上するのか。果たして強化委員会は、誰に白羽の矢を立てるのだろうか。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)