「ありえないくらい甘い」「子供達は恐怖に怯え泣いていたんだよ?」浦和レッズ一部サポ“暴徒化事件”への“大甘処分”に批判の声が殺到
例えばJ2のベガルタ仙台は7月上旬に、サポーター22人にアウェイ戦を含めた無期限の入場禁止を科している。試合後に当該サポーターが立ち入り禁止エリアに侵入し、相手のチームバスを取り囲んで威嚇した6月のジュビロ磐田戦後の事案を受けた処分だった。
7月下旬にはFC東京のサポーター4人に、日本国内で行われるすべての試合を対象とした無期限の入場禁止が科された。東京ヴェルディに勝利した天皇杯3回戦で、花火・発煙筒と思われる火器の使用が確認されたために下された処分だった。
重い処分を決めたJFAは、リリースで「スタジアムでご観戦いただく皆様におかれましては、本協会や主管する各サッカー協会の定めるルール等を今一度ご確認いただき、これらを順守して楽しくご観戦くださいますようお願い申し上げます」と呼びかけている。
こうした状況を受けて、浦和のツイートにはこんなリプライも寄せられた。
「浦和レッズでは甘い処罰しか下せないのであれば、週明けのサッカー協会からの更なる重い処罰を待つしかありませんね」
JFAだけでなく、ともに天皇杯を主催するJリーグも事実確認を進めている。ただ、Jリーグ規約は、チェアマンが制裁を科せる個人の範囲を「選手、監督、コーチ、役員その他関係者」と定めている。つまり、リーグとしてサポーターを直接処分できない。
一方でクラブに科す制裁措置が10段階で定められている。昨年7月にはコロナ禍で禁止されている声出し応援を一部の浦和サポーターが繰り返したとして、浦和に最も軽い制裁措置のけん責、次に軽い制裁金(2000万円)が併科された。
声出し応援ができない状況に不平不満を募らせていた、一部サポーターを管理できなかった責任を問われた浦和に対して、Jリーグはさらに警告を発している。
「浦和レッズが再びサポーターの行為に起因する懲罰事案を発生させた場合、無観客試合の開催又は勝点減といった懲罰を諮問する可能性があることを付言しておく」
10段階の制裁で、無観客試合はけん責から数えて5番目の、最大15ポイントを剥奪する勝ち点減は同じく7番目の措置となる。浦和への制裁を科した野々村芳和チェアマン(51)は、記者会見の場でこんな言葉を付け加えるのを忘れなかった。
「同じ方向性でやっていくのであれば、こうした対応を取らなければ、リーグとして他のクラブに対しても、他のクラブのサポーターに対しても示しがつかない」
8番目以降の制裁はカップ戦を含めた出場権の剥奪、下位リーグへの降格、最も重いリーグからの除名と続いている。舞台がリーグ戦やYBCルヴァンカップではなく天皇杯とはいえ、Jリーグが問題視する「サポーターの行為に起因する懲罰事案」には変わりない。
何よりも日本サッカー界が最も大切にするスタジアムの安心安全な観戦環境を、根底から揺るがす今回の悪質な事案の責任がどのような形で問われるのか。浦和が科す処分の決定および発表を通過点として、事態は週明けから新たな局面を迎える可能性が高い。