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ボランチ長谷川唯のゲームコントロールが見事だった(写真:AAP/アフロ)
ボランチ長谷川唯のゲームコントロールが見事だった(写真:AAP/アフロ)

なぜ女子W杯8強進出をなでしこは果たせたのか…見事なハーフタイム修正力…次戦がVへの“最大の山場”3連覇狙う米国対スウェーデンの勝者

 試合後のインタビュー。なでしこの池田太監督(52)は「中盤の選手がボールを受けようと下がってしまっていたので、もう少し前へ行ってもいいんじゃないか、と。あとはサイドをもっとうまく使えれば」とハーフタイムに施した修正点を明かしている。
 宮澤を追い抜き、ペナルティーエリア内へ侵入していった長谷川の縦への仕掛け。そして、積極的に前へ出て行った遠藤と清水の両ウイングバック。指揮官の指示が鮮やかに具現化された勝ち越しゴールを、前出の鈴木氏も高く評価している。
「今回のなでしこは相手の出方によって、戦い方を柔軟に変えられる。日本にボールを持たれてもかまわない、という戦法で臨んできたノルウェーに対して、例えば清水はワイドの選手でありながら、どんどん中に入っていく意識も持っていた。これが序盤であればあそこまで中には入らず、外側で様子を見ていたはず。これも先制していた効果で、清水を含めた全員がポジティブなイメージを持ってプレーしていた影響だと思う」
 鈴木氏はさらに、相手の意表を突くスルーパスだけでなく、相手ボールになった直後の素早い帰陣など、攻守の中心を司った長谷川にもこう言及した。
「本来は一列前の選手だった長谷川は攻撃力に長けている。それがボランチに入り、コンビを組む長野風花(24、リバプール)との意思疎通で、チャンスと思えば自由に上がる。縦へ攻め上がってくる選手ほど、相手にとって捕まえづらい存在はいない。攻守両面における判断力のよさを含めて、いまのなでしこを安定感という意味で支える存在になっている」
 勝ち越されたノルウェーは、戦い方を変えざるをえなかった。最終ラインや左右からのロングボールが一気に増え、体格差をより前面に押し出してきた。必然的に最終ラインの背後が空く。迎えた36分。一撃必殺のカウンターが決まる。MF藤野あおば(19、日テレ・東京V)のスルーパスに抜け出した宮澤が独走。冷静沈着に左足を振り抜いた。
「ノルウェーのロングボール戦法に対して、なでしこは簡単にクロスを上げさせない、という守備をしていた。それでもノルウェーは無理をしてでも、敵陣にそれほど深く入らない位置からでも上げてきた。距離があるほど正確なボールは蹴れない。熊谷紗希(32、ローマ)を中心としたなでしこの最終ラインもそのあたりを計算して、ロングボールだけでなく相手選手にもしっかりと対応していた。その意味でかなり安心して見ていられた」
なでしこの“引き出し”の多さも勝敗を分けたと指摘した鈴木氏は、通算5ゴールで大会得点王ランキングの単独首位に浮上した宮澤を称賛した。
「宮澤のスピードは群を抜いて速く、だからこそスペイン戦でも2ゴールを決めた、ハーフウェイラインの手前ぐらいからスピードに乗って飛び出していくあの形を得意としている。自分たちの特徴はこれしかない、といった形でノルウェーが高さにこだわったのに対して、なでしこは試合状況に対応しながら、さまざまなパターンの攻撃を繰り出していた」
 一方で交代が5人まで可能な状況で、わずか1人にとどまった池田監督の采配に一抹の不安を募らせている。

 

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