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日本代表はフィジーに敗れ、W杯仏大会へ向けての強化試合の結果は1勝4敗と負け越した(写真:松尾/アフロスポーツ)
日本代表はフィジーに敗れ、W杯仏大会へ向けての強化試合の結果は1勝4敗と負け越した(写真:松尾/アフロスポーツ)

ラグビーW杯仏大会の国内“前哨戦”を1勝4敗で終えた日本代表は本当に大丈夫なのか…15日のメンバー発表を前に“光と影”を検証

 ロックのワーナー・ディアンズ、ウイングのシオサイア・フィフィタといった去年までのレギュラー格は、練習中に痛みを抱えた。いずれも夏の試合には出られなかった。ディアンズはフィジー代表戦にようやく間に合ったかと思えば、試合の3日前に改めて足を痛めて欠場せざるを得なくなった。
 2016年からスタートしたジョセフ体制は、ハードトレーニングでチームを強化してきた。8強入りを果たした前回のW杯日本大会の直前は夜間練習を重ね、当時のメンバーだった中島イシレリ、アマナキ・レレイ・マフィ、福岡堅樹らがトレーニング、ゲームで負傷していた。今回も、浦安の合宿では、約1時間ぶっ通しのタックルセッションを毎朝、実施。試合の時期に入ってからも、ラグビートレーニングとシャトルランを交互に行うなどして心拍数を高めるトレーニングを欠かさなかった。
 現体制下でW杯に選ばれる選手には、「タフさ」が求められる。その「タフさ」には、平時のケアで故障を未然に防げるという意味も含まれるのだろう。
 身体を酷使している右プロップの具智元は言う。
「僕はもともと怪我が多いので、ケアをしっかりしながらやっていかないと。ワールドカップ前に怪我をしたら終わりなので」
 課題が露になり“前哨戦”で1勝しかできなかったことに対してファンはフランスでの戦いに不安を感じているだろう。
 もっとも過去を振り返れば、2015年のイングランド大会前も苦戦続きだった。
 当時のエディー・ジョーンズヘッドコーチが宮崎で1日に3部練習の苛烈な合宿を行うなか、春には格下の韓国代表と56―30と打ち合いを演じてしまう。環太平洋諸国などとのパシフィック・ネーションズカップは、1勝4敗だった。厳しい練習の影響を受けて試合で成果を出せないことは今回の状況に似ている。日本代表は、その2015年のイングランド大会で南アフリカ代表から歴史的勝利を挙げるなど計3勝した。
フルバックの松島幸太朗は、このイングランド大会で初めてW杯を経験。今回、3度目の大会出場を狙う。経験を踏まえた上で、W杯前に苦しむことの意味を語った。
「いま(きつい鍛錬を)やっておいたら、季節が変わった時にめちゃくちゃ走れる。フォワード、バックスのセット(位置取り)も速くなってくる」
 悲観すべき話だけはない。
 現時点で見える光もある。そのひとつが攻撃の連動性だ。
 フィジー代表戦の後半28分、自陣22メートル線付近から展開したシーンでのこと。接点の後ろのフォワードのユニットで、まず具がパスをもらい、その後方の松島にバトンが渡ると、その左斜め後ろでロックのジェームス・ムーアが球を呼び込みキャッチした。相手を引き寄せ、左へさばき、そこへ駆け込んできたインサイドセンターの長田智希は、一気に敵陣ゴール前まで攻め上がった。
 結局、ミスが起きて無得点に終わったが、各自が攻めの枠組みを整え、相手の穴を突くという意図が明確に見えたシーン。このような場面はフィジー代表戦の他の時間帯でも、トンガ代表戦でも作った。
惜敗のサモア代表戦では、事前に計画したキックのプランを機能させた。蹴った先へ圧力をかけエリアを制圧できた。チームが一枚岩で動けているのは強みだ。

 

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