ラグビーW杯仏大会の国内“前哨戦”を1勝4敗で終えた日本代表は本当に大丈夫なのか…15日のメンバー発表を前に“光と影”を検証
ハンドリングエラーの数が5試合で2桁にのぼり、ミスに泣いて得点を増やせないという現実はある。ただし、それは、高温多湿のグラウンドで手を滑らせているのが、主な要因とも言える。9月の大会本番とは環境が変わる。
ジョセフは前向きだ。
「14人になってからの70数分、アタッキングラグビーができたのは素晴らしい。最後までチームのスピリットを感じた」
期待される8強以上、もしくはチームが掲げるW杯優勝という目標を果たすのはそう簡単ではあるまい。ただ、日本代表がそのミッションをクリアするのに避けて通れない道を歩んでいるのは確かだ。
15日にはW杯に出場する登録メンバーが発表され、現在候補を含めて計46名いるメンバーが33名に絞られる。ジョセフは、トンガ代表戦前の時点で「(大会登録メンバーの)80パーセントほどは決めている」と話していた。トンガ代表戦、フィジー代表戦で先発したメンバーの選出が有力視され、今年初代表ながら2戦連続で先発に抜擢された長田も当確に値しそうだ。
一方、アクシデントで再考を余儀なくされるのはフォワード第3列の人選か。
元主将のラブスカフニは指揮官からの信頼こそ厚いが、レッドカードに伴い大会序盤に出場停止処分を受ける可能性がある。限られた人数で編成をやりくりしなければならないW杯に向けて、ジョセフは、その現実をどう捉えるだろうか。
フランカーには7月上旬の試合で躍動した福井翔大など、実力者が揃う。生き残るのは誰か。15日のメンバー発表が待たれる。
選ばれし33名は、都内でのミニキャンプを経てイタリアへ渡る。26日には敵地・トレビゾで、イタリア代表と大会前最後の実戦に臨むことになる。
2大会連続の決勝トーナメント進出が求められるW杯の大会本番では、予選プールDに入る。9月10日にはトゥールーズで、大会初出場のチリ代表と初戦を行う。18日に前回準優勝のイングランド代表と激突。29日には7月のテストマッチで惜敗しているサモア代表と対戦する。そして予選プールの最終戦が10月8日。相手は南半球4強の一角であるアルゼンチン代表だ。
4大会連続出場を狙うフッカーの堀江翔太は、「自分たちの戦術戦略は、相手によって色々と変わってくる。そこらへんの頭の回転(切り替え)や、現場の判断を大切にしたい」と展望を語る。国内での5試合で突き付けられた現実を受け入れ、かつ堂々としていた。
(文責・向風見也/ラグビーライター)