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花巻東の佐々木麟太郎はプロ志望届を出さずに米国留学を決断(写真・日刊スポーツ/アフロ)
花巻東の佐々木麟太郎はプロ志望届を出さずに米国留学を決断(写真・日刊スポーツ/アフロ)

超大型スラッガー佐々木麟太郎はドラフト1位で消える逸材なのか…逆方向に“技あり”の3安打1打点…元ヤクルト編成部長に聞く

 第105回全国高校野球選手権の1回戦が8日、甲子園球場で行われ第1試合でプロ注目の花巻東の大型スラッガー佐々木麟太郎(3年)が「3番・一塁」で登場、3安打1打点で、宇部鴻城を4-1で撃破する8年ぶりの勝利に貢献した。宇部鴻城の好投手である浅田真樹(3年)対策として3本のヒットをすべて逆方向へ放ちパワーだけではない“器用さ”を披露。背中を痛めた影響で自慢のフルスイングは見られなかったが、ドラフト1位候補としての進化を示した。目標はOBのエンゼルス二刀流スターの大谷翔平(29)。「一歩でも近づけるように頑張りたい」と佐々木が言う。花巻東は13日の2回戦でクラーク国際と対戦する。

 母校OB大谷翔平に「一歩でも近づけたら」

 

 高校通算140本塁打を誇るドラフト1位候補の甲子園初ヒットは技ありの一打だった。1回二死から徹底してインサイドを攻められたが、そのストレートをつまりながらもパワーで三遊間へ押っ付けた。  
 そして0-0で迎えた4回無死二塁。初めての得点圏で打席に立った佐々木はボールワンから低めに落としてきたスライダーを引きつけて逆方向の左中間へ運ぶ。これが均衡を破る先制のタイムリーとなった。試合後、父であり監督の佐々木洋氏が、「チェンジアップ、シンカー気味のボールを引っ張らずに反対方向へ打つことを指示していた」と、対策を徹底していたことを明かした。
 宇部鴻城の先発の浅田真樹は、サイドからボールを丁寧に散らしてくる好投手。山口県大会では、3試合22回を投げてわずか1失点で、左打者の外に逃げるように落とすボールを引っ張れば罠にはまる。その浅田対策は、アーチストの佐々木も例外ではなかった。
 チームのスローガンは「貢献こそ活躍」。
 佐々木が言う。
「一戦必勝で戦ってきたのが我々のチームのスタイル。一人一人が考えながら、役割を意識してやってきた。貢献こそ活躍。チーム野球の中でどれだけ活躍できるかをテーマにしてやっている」
引っ張って一発を狙いたい我を捨ててチームバッティングに徹したのだ。
 第3打席は、5回二死二塁で申告敬遠。燃えた次打者の4番、北條慎治が右中間にタイムリーを放っている。ここでも佐々木は、その“顔”で貢献した。
 7回二死一塁での最終打席も、見逃せばおそらくボールの高めのストレートを逆方向へ打ち返して三塁の右を強襲。ダイビングした有川は打球を止めたがそれが精いっぱいの内野安打。結局、すべて逆方向に3本のヒットを重ねて4-1のスコアでチームは8年ぶりの夏1勝を刻んだ。
「勝ちにこだわってやってきたので初戦を勝ち切れたことが良かった。ほっとした気持ち。1戦1戦しっかりと準備をしてやってきたので今は安堵の気持ちが一番あります」
 佐々木は言葉を選びながらそう語り、自らの猛打賞&先制打に関しては、こう続けた。
「結果は気にしなかった。自分としては(打席の)内容や質にはこだわっていたが、とにかく勝つことに意識があった。それに対して貢献できたことが良かった」
 岩手県大会の2週間前に背中を痛め、県大会では、何試合かを欠場しノーアーチで終わっている。試合後に佐々木監督は「まだまだですが、だいぶ振れるようにはなってきた」と現状を報告した。
 プロの目は、最後の夏の佐々木をどう見たのだろうか。

 

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