超大型スラッガー佐々木麟太郎はドラフト1位で消える逸材なのか…逆方向に“技あり”の3安打1打点…元ヤクルト編成部長に聞く
ヤクルトの元編成責任者で、阪神ではスカウトも務め、故・野村克也氏が信頼した“右腕”として知られる松井優典氏は、佐々木の変化をこう捉えた。
「おそらくチームの指示なのだろう。あえてポイントを近くに引きつけて逆方向を意識したバッティングを心がけていた。選抜では引っ張り一辺倒で外の変化球の揺さぶりに弱い印象だったが、器用さは見せた。ただ本来であれば、2打席目の打球は、左中間を超えていかねばならなかった。ドラフト1位候補としては、そこに物足りなさは感じた。球威に差し込まれているのだ。ただ背中を痛めてコンディションがまだ万全ではないとのこと。その部分を差し引くと、器用な対応力を評価していいかもしれない」
松井氏は、高校時代のヤクルトの村上宗隆を見ており、その比較で言えば、「球団によって評価が分かれる選手」との見方をしている。
「村上は、高校時代に捕手だったし、今の佐々木ほど体も大きくなく、パワーオンリーではなく柔軟性があった。佐々木は三塁を守れればいいが一塁しか守れないのであれば、外国人選手のために空けておくポジションでもありパ・リーグ向きの選手だろう。即戦力ではなく素材型の選手。背中に違和感を残す中でも、スイングスピードには超高校級のものがあった。今後のコンディション次第だろうが、ボールを前でさばいて、どんなバッティングができるのかを見てみたい」
佐々木が打席に入ると、アルプススタンドは、学校のOBで二刀流スターとして本塁打争いで独走中の大谷の日ハム時代の応援マーチを奏でた。
試合後のインタビューで、「比較されることが多い母校の先輩である大谷をどう意識しているのか?」と聞かれ、こう返答した。
「小さい頃から憧れの大先輩。自分自身のことは、たいしたことがない(選手)と思っているが、いつも(大谷と比較して)取り上げてもらってありがたいと思っている。一歩でも近づけるように頑張りたい。それだけ刺激になる素晴らしい存在」
花巻東が13日に2回戦で対戦する相手は、前橋商を7-1で下したクラーク国際。エースの新岡歩輝は、制球力が抜群の変化球投手で、この日は121球を投げ1失点で完投勝利した。ストレートも140キロを超えてくる。佐々木にとって真価を問われる夏の第二幕となる。