「史上最悪の会見」日大アメフット部員の大麻&覚せい剤逮捕に関する林真理子理事長ら大学トップ3の会見に見えた矛盾と違和感
澤田副学長が報告しなかったものだが、その判断も林理事長は「適切だった」という。
一方の澤田副学長は「報告しなかったことが適切かどうかは考えさせていただきたい」と答えた。
理事長と教学側の学長、副学長とのコミュニケ―ション不足、ひいてはガバナンスの欠如が明らかになったにもかかわらず、林理事長は「重要なことになると私に情報があがって相談するのが本来のシステム。今まで適切なところで適切な情報をあげてもらっていると認識している」と、2人をかばうような発言をした。
部員の一人が違法薬物である大麻を使用したことを認めたことは重要事項ではないのだろうか。だが、2時間を超える会見での質疑応答の中で林理事長も、ことの重大さを認識したようで発言が変化した。
最後には「就任してからスポーツの話には遠慮があった。私の分野じゃないから知らないではなく、もっと私から積極的に遠慮せずにどんどんいくべきだったと今は考えている。改革はスポーツの方に手をのばしていかねばならない」と、反省の弁を口にする始末だった。
つまりここまでこういう議論がトップの間で行われていなかったということだ。理事長は、経営、教学も含めてトータルで責任を負う。学長任せ、副学長任せは、信頼や役割分担の徹底にも見えるが、ある意味、理事長の仕事の放棄であり、これこそがガバナンス不全の象徴である。会見の中で林理事長は「連絡の不徹底」を何度か嘆いたが、問題はそんな単純なミスではない。組織としてのガバナンスが機能していない証拠なのだ。林理事長は「お飾りと評価されることが残念で遺憾」とも語っていたが、その程度にしか、とらえていないのであれば、また日大という組織は同じような問題を起こすだろう。
話を戻すが、この昨年に大麻を吸ったことを自己申告した部員と、今回、逮捕された部員が同一人物かどうかを大学は、「捜査中」「個人情報」との理由で明かさなかった。
処分が、厳重注意ではなく退学レベルの厳しいものであれば、半年後に起きた逮捕劇を未然に防ぐことができたのではないか。その点について澤田副学長は「わからない」と何度も繰り返した。東京地方検察庁総務部副部長、宇都宮地方検察庁で次席検事を歴任した澤田副学長の話しぶりは、とても高圧的で、私の記憶の限りでは、反省や謝罪をほとんど口にすることなかった。
また疑念として残るのが、逮捕者は一人で収まるのか、寮で大麻吸引が蔓延していたのではないのか、との問題だ。昨年自己申告した部員と今回逮捕された部員がもし別の人物であれば、少なくとも2人が使用していたことになる。だが、澤田副学長は「それをもって蔓延しているのは考えていない」と断言した。
「現時点で、それ(他に使用部員がいること)については把握していない」とも答え、ヒアリング調査の段階では第二、第三の逮捕者が出てくる可能性がないことを明かした。