なぜGT戦2つの致命的ミスが明暗を分けたのか…岡田監督は「別にええやん」と許し原監督は「すべての野球人に恥ずかしいプレー」と“断罪”

　阪神が9日、東京ドームでの延長11回までもつれこんだ巨人との死闘を5－2で制して6連勝、貯金を20に乗せた。互いに致命的なミスが出たゲームだったが、阪神が6人で継投した投手力と代走でプレッシャーをかけた集中力で上回った。4位の巨人は阪神に連敗したことで自力Vが消滅した。

　梅野が執念の決勝センターゴロ

　島田は泣いていた。
　7回二死からブリンソンが左中間へ打ち上げた平凡なフライに対して、近本と島田の声の連携がうまく取れず、なんと島田がグラブに当てて落球。三者凡退でチェンジのはずが、二死一塁となり、続く代打の中田に逆転の2ランを許したのである。これが野球の怖さだ。
　だが、中野が、その痛恨のミスを帳消しにしてくれた。8回二死から4月30日のヤクルト戦以来となる同点の2号をライトスタンドの中段にまで運んだ。
「エラーからの失点という嫌な流れで、一番ホームランの可能性がない選手（中野）が千金のホームラン」
　岡田監督が大絶賛の一打がゲームを振り出しに戻す。
　その瞬間、ベンチで島田は涙ぐんでいた。
　心と心が結びついたチームは強い。
　2－2のままもつれた延長11回に巨人は5番手にビーディをマウンドに送ってくる。
　先頭の3番、森下が四球を選び、岡田監督は代走植田をコールした。植田が何度もスタートの素振りを見せてプレッシャーをかける。スライドステップのできないビーディは明らかに走者が気になっていた。巨人バッテリーは盗塁を警戒し、外角へのストレート中心の配球にならざるを得なかった。大山はカウント1－2からの４球目が外角に来ることを読み、逆方向を狙っていた。ライト前ヒットで、無死一、三塁と勝ち越しのチャンスを演出したのである。ミスの挽回チャンスが回ってきた島田は、ショートゴロに倒れたが、植田がうまく三本間に挟まれ、走者が、二、三塁に進塁。巨人ベンチは、この日、2安打の佐藤を申告敬遠して一死満塁で梅野との勝負を選んだ。
「テルが、申告敬遠を食らって、初球からどういう結果であろうとしっかりスイングしていこうと。みんなが作ってくれたチャンスを何とかして生かしたかった」
　梅野は0－0で迎えた7回にも一死一、二塁から三遊間に貴重な先制タイムリーを放っていた。その時もファーストストライクを狙う積極打法が功を奏していた。
　つまった打球が、ふらっとセンターへ。ダッシュしてきたブリンソンは、捕球の瞬間に一瞬躊躇した。打球がブリンソンの目の前に落ちる。試合後、原監督は、「懸命にチャージしている」と、このプレーを責めることはしなかったそうだが、走者が全員ハーフウェイだったことを考えれば、いちかばちかで突っ込むべきだったろう。
　大山が勝ち越しのホームを踏んだが、ハーフバウンドで捕球したブリンソンは、三塁へボールを送り、二塁走者をフォースアウト。梅野の決勝の一打は珍しいセンターゴロと記録された。。
　さらに続く木浪も、外に落ちる変化球にうまくバットを合わせ、前進守備を敷いていた巨人の左中間を真っ二つに割り、貴重な2点を追加した。スコアを5－2として、最後は、連投となるクローザーの岩崎が、巨人の反撃を許さず、阪神は5カード連続の勝ち越しを決めて6連勝を飾った。
　岡田監督は「変なゲーム」と表現した。