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伝統のGT戦で阪神の岡田監督の采配がさえた(資料写真・黒田史夫)
伝統のGT戦で阪神の岡田監督の采配がさえた(資料写真・黒田史夫)

なぜGT戦2つの致命的ミスが明暗を分けたのか…岡田監督は「別にええやん」と許し原監督は「すべての野球人に恥ずかしいプレー」と“断罪”

 岡田監督から、この充電の10年間に、何度となく聞かされたのが、原監督がメンバー表交換の際に発したという言葉だ。
「先輩、正々堂々とやりましょうよ」
 岡田監督が2008年の前監督時代に言われた言葉だという。
 当時の巨人は、スタメンが固定できず、相手の先発を読むことが勝敗のカギを握っていた。予告先発のない時代。岡田監督は、色々と手を打って原監督の予想の裏をかく先発を繰り出した。
「今は、予告先発になって面白くなくなったけど、当時は試合前からベンチの駆け引きがあった。それで“正々堂々とやりましょうよ”やからな(笑)。ははは。それだけ意識しているっていうことよ」
 原監督は、岡田監督の1年後輩にあたる。大学時代から共に全日本でクリーンナップを組んだ盟友であり、伝統の阪神ー巨人戦のスター選手として、しのぎを削り、監督となってからも火花を散らしてきたライバル。だからこそ、重要な8月のロードで原監督の裏をかく奇策を用意した。
 対する原監督は徹底してバントを使ってきた。2回には無死一塁から5番の大城にバントで送らせ、9回にも一死一塁からまた大城にバントのサイン。延長10回には無死一塁から途中出場の長野にまでバントを命じて、結局、失敗してチャンスを潰した。原監督のぶれない采配にも岡田監督の采配への対抗意識が見え隠れしていた。
 阪神は、逆転されても簡単に引き下がらず何かを起こす“王者の野球”で6連勝を果たした。貯金は20に膨らみ、早ければ15日にも優勝マジックが出る。
 試合後のテレビインタビューの最後。アナウンサーからの「明日の巨人先発は戸郷です」という唐突な質問に対して、穏やかな表情をした虎将は、「いやいや。こっちも才木なんでね。いい投手戦になるんじゃないですか」と返した。

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