なぜ女子W杯準々決勝でなでしこはスウェーデンに1-2惜敗したのか…次なる戦いのパリ五輪に向けての課題は?
サッカーの女子W杯準々決勝が11日、NZ・オークランドのイーデン・パークで行われ、FIFAランキング11位のなでしこジャパンが1-2で同3位のスウェーデン代表に敗れ、2011年以来となる優勝の夢は潰えた。スウェーデンに主導権を握られたなでしこは、今大会初めて先制され、2点のリードを許した。PK、FKでつかんだ得点チャンスはいずれもゴールバーに阻まれ、後半42分にMF林穂之香(25、ウェストハム)が1点を返したが、あと一歩及ばなかった。なでしこの敗因と次の目標となる来年のパリ五輪へ向けての課題を考察した。
「日本はもっとアグレッシブに前から来ると思っていた」
10分が表示された後半アディショナルタイムを含めて、スウェーデンに猛攻を浴びせ続けた。42分には途中出場の林がこぼれ球を蹴り込み、反撃の狼煙をあげた。しかし、あと一歩及ばなかった。快進撃を続けてきたなでしこジャパンが準々決勝で姿を消した。
最新のFIFAランキングだけでなく通算の対戦成績(5勝3分け6敗)でも、さらには平均身長でもなでしこを約7cmも上回る強豪スウェーデンとの大一番。前半32分に最も警戒していた相手のセットプレーから、今大会5試合目にして初めて先制された。
自陣の中央やや左寄りの位置で与えた直接FK。浮き球のボールをGK山下杏也加(27、INAC神戸)が一度はパンチングで弾き返すも混戦に持ち込まれ、最後はこぼれ球をDFアマンダ・イレステット(30、パリ・サンジェルマン)に蹴り込まれた。
攻守両面で精彩を欠いた左ウイングバックの杉田妃和(26、ポートランド・ソーンズ)を、今大会を通じてハイパフォーマンスを見せてきた遠藤純(23、エンジェル・シティ)に代えて反撃を期した後半開始直後の6分。なでしこはさらに出鼻をくじかれてしまう。
スウェーデンの右CKを防いだ直後にビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が介入。オン・フィールド・レビュー(OFR)の結果、主審はMF長野風花(24、リバプール)がペナルティーエリア内でハンドを犯したと確認。MFフィリッパ・アンイエルダール(26、マンチェスター・シティ)が山下の逆を突いて、ゴール左隅にPKを決めた。
もっとも、2点のビハインドを背負った試合展開だけが敗因ではない。最終ラインを高く保つスウェーデンが繰り出すハイプレスと、ボール奪取後にしっかりとパスを繋ぎ、効果的にロングボールも織り交ぜる攻撃の前に後手を踏み続けた。初めてのシュートは後半18分のMF藤野あおば(19、日テレ・東京V)まで待たなければいけなかった。
決勝トーナメント1回戦までの4試合で、大量14ゴールをあげたなでしこがなぜ沈黙したのか。日本女子代表の初代専任監督を務めたサッカー解説者の鈴木良平氏(74)は「スウェーデンのサッカーを、逆に日本がしなくてはいけなかった」と指摘する。
「ただ、スウェーデンにしても、当初は逆の流れを想定していたはず。日本にボールを持たれ、自分たちは守備から入ると想定していたなかで、いざ前半が始まると日本がこれまでのように前からボールを奪いに来ない。主導権を握れたのはスウェーデンにとっても予想外だったはずで、それだけ日本の消極的な試合への入り方がこの試合の明暗を分けた」
実際、スウェーデンのペーター・ゲルハルドソン監督の試合後のコメントを、スウェーデンメディアの『NYHETER24』が伝えている。
「日本はもっとアグレッシブに、前から来ると思っていた」