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レアル・ソシエダの久保建英がバスクダービーで今季5ゴール目を決める(資料写真:なかしまだいすけ/アフロ)
レアル・ソシエダの久保建英がバスクダービーで今季5ゴール目を決める(資料写真:なかしまだいすけ/アフロ)

「日本の宝は私達を絶対に裏切らない」開幕戦ゴールの久保建英に賞賛の声…ラ・リーガ日本人歴代最多得点記録に並ぶ

 ソシエダの地元紙『noticias de Gipuzkoa』もこう報じた。
「わずか5分。ラ・レアル(ソシエダの愛称)が今季初ゴールを決めるまでにかかった時間だ。アイヘン・ムニョスの仕事も素晴らしかったが、圧巻だったのは久保建英だ。ガッサニーガはシュートを止めるイメージすら描くことができなかった」
 そして、スポーツ紙の『MARCA』は“ある記録”を報じている。
「久保建英はラ・リーガで通算16ゴール目を決めて、乾貴士と並んで、歴代で最も多くのゴールを決めた日本人選手となった」
 ラ・リーガにおける日本人の通算最多得点はエイバル、ベティス、アラベスで6シーズンにわたってプレーした乾がマークした「16」だった。そして、昨シーズン終了時で「15」だった久保が、開幕戦でいきなり1ゴールを上積みして乾に並んだ。
 久保は2019年6月にFC東京から強豪レアル・マドリードへ完全移籍。2019-20シーズンからマジョルカ、ビジャレアルとヘタフェ、再びマジョルカでプレー。期限付き移籍を繰り返した3シーズンであげたゴールは「6」にとどまっていた。
 一転して、ソシエダに完全移籍した昨シーズンは9ゴールをマーク。乾が2017-18シーズンにエイバルでマークした、日本人のシーズン最多得点記録だった「5」を大幅に更新した。心技体のすべてが充実している状況を、久保はこんな言葉で表していた。
「監督、チームメイト、そしてファンのみんなが僕を信頼してくれている。ピッチ上でこれほど信頼されていると感じられることは、プロになって以来なかった」
 EU圏外枠の問題もあり、居場所を築き上げられなかったレアル・マドリードとあえて袂を分かち合った。自在に操れるスペイン語でコミュニケーションを深め、自分の力だけで周囲からの信頼感と居場所を勝ち取ったシーズン終盤にはこんな言葉も残している。
「いまのところ、僕のベストシーズンだと言えるでしょう」
 ソシエダとは5年契約を結んでいるにもかかわらず、オフには古巣のレアル・マドリードが再獲得に動くと伝えられた。セリエA王者のナポリやサウジアラビアのアル・ヒラルも触手を伸ばした、と報じられたなかで久保自身はまったく興味を示さなかった。
 視線の先にあるのはようやく巡り会えた相思相愛のクラブ、ソシエダで臨む新シーズンだけ。そして、オフには結果として久保の序列を上げる出来事が相次いだ。
 昨シーズンに12ゴールをあげ、久保をして「相性は抜群」と言わしめたノルウェー代表FWアレクサンダー・セルロート(27)がビジャレアルへ移籍。キャンプ中に左膝前十字じん帯断裂の重傷を負ったベテラン、元スペイン代表MFダビド・シルバ(37)が現役引退を表明した。シルバを師匠として慕っていた久保も、自身のSNSで突然の別れを惜しんでいる。
 ただ、新たな戦いはすぐに幕を開ける。前出の『MARCA』は開幕へ向けたガイドブックで、2シーズン目を迎える久保をソシエダの中心として紹介している。
「この日本人選手は昨シーズンの後半戦、レアル・ソシエダにおけるベストプレーヤーだった。バルセロナとレアル・マドリードが、まだあどけなかった彼をなぜ獲得したのか。そして、ラ・レアルがなぜ3年連続でなぜ執拗に彼の獲得を目指したのか。その理由が証明されたと言っていい。ソシエダに順応した今シーズンの彼の願いは、もう一歩前へ踏み出すこと。ラ・レアルだけでなく、ラ・リーガを代表する選手になることだ」

 

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