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履正社の福田幸之介が左腕ではナンバーワンの評価(写真・日刊スポーツ/アフロ)
履正社の福田幸之介が左腕ではナンバーワンの評価(写真・日刊スポーツ/アフロ)

夏の甲子園ドラフト候補ナンバーワン投手は誰?…ノムさんの“参謀”だった元ヤクルト編成部長に聞く

 第105回全国高校野球選手権の2回戦が14日に終了、台風の影響で今日15日の試合は中止となったが、16日から3回戦に突入する。出場49校にいるプロ注目のドラフト候補もほぼ全員が登場した。元ヤクルト編成部長で阪神ではスカウトも務め“名将”故・野村克也氏の右腕として知られる松井優典氏に「ドラフト候補として誰が大会ナンバーワンの投手か」の評価を聞いてみた。

 仙台育英の高橋煌稀のポテンシャルとスケールがナンバーワン

 

 夏の甲子園はプロスカウトから見ればドラフトを見据えた重要な“品評会”でもある。
 元ヤクルトの編成部長、阪神スカウトとして何度も甲子園のネット裏に足を運んだ松井氏は、「甲子園は選手にとって特別な場所。実力以上の力を発揮する選手もいるし、逆のパターンの選手もいる。そこもプロで成功できるかどうかを決める大事なセンス。スカウトからすれば、夏の大会は、春からの成長度を見定める場所でもあり、選手を最終確認する場所になる」という。
 今大会にもプロ注目の逸材がズラリ。目玉は、高校通算140発を誇る花巻東の超高校級スラッガーの佐々木麟太郎だろうが、“150キロトリオ”として評判の仙台育英の高橋煌稀、湯田統真、仁田陽翔の3人を筆頭に投手にも好投手が揃った。
 では、誰がドラフト候補として大会ナンバーワンの投手なのか?
 松井氏は、「球団やスカウトによって好みが分かれる。あくまでも私の見解」と前置きをした上で、仙台育英の背番号「1」を背負う高橋の名前を挙げた。
「ストレートの質とポテンシャルのスケールは仙台育英の高橋が一番でしょう。スピードガン表示は聖光学院との試合で出した147キロが最速だったが、おそらく打者の体感としては今大会で最も速いストレートを投げる。1m83の長身から投じるボールには角度があり、同じ腕の振りで投げてくるチェンジアップもいい。ただ初戦で4回、2回戦で1回と投げるイニング数が限られている。まだ体力的な問題もあるのだろう。素材型として評価したい」
 高橋は1回戦の浦和学院戦では2番手として登板したが、変化球が浮き5失点。2回戦の聖光学院戦では9回にクローザーとして登場。最後のバッターを三球三振に打ち取るなど存在感を示した。
 仙台育英「150キロトリオ」の湯田が今大会最速の150キロをマーク。左腕の仁田も乱打戦となった1回戦の浦和学院戦では最後のイニングを無失点で締めた。
「湯田は高橋に比べて完成度が高い。スライダーなど変化球でストライクが取れて投球を組み立てる術を持っている。ただノビシロという点で言えば高橋に目がいく。仁田は、ぐいぐいとストレートで押していく気持ちを買いたい。三振もとれる。上背はないが、左腕としてのアドバンテージがある」
 松井氏が高橋に次ぐ2番手に評価したのは履正社の1m80の左腕、福田幸之介だ。
 大阪大会の決勝で大阪桐蔭のプロ注目左腕である前田悠伍と投げ合い、完封勝利で甲子園切符を奪い、一躍注目を集めた。今大会は、1回戦の鳥取商戦では1回を投げて無失点、2回戦の高知中央戦には先発し6回を投げて4安打8奪三振、2失点の内容だった。最速は144キロをマークしている。
「今大会で左腕のナンバーワンは履正社の福田だろう。馬力があり、何より打者に向かっていく気持ちの強さがプロ向きだ。腕が振れるから変化球も生きている。ただ上体が突っ込みリリースポイントがまだ安定しない。高知中央との試合で失点したのは、ボールが浮いたところを捉えられていた。修正点はあるが、そこはノビシロ。ドラフト上位で消えると思う」

 

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