夏の甲子園ドラフト候補ナンバーワン投手は誰?…ノムさんの“参謀”だった元ヤクルト編成部長に聞く
松井氏がストレートの質と特殊球を高く評価したのが、日大三高の安田虎汰郎だ。
1回戦の社戦で2安打完封勝利。14日の鳥栖工戦では、2回二死一、二塁からスクランブル登板して9回まで無失点に抑えてチームを勝利に導いた。甲子園防御率はいまだ0.00。
「ストレートは140キロは出ないが、下半身からリードして腕が遅れて出てくるので打者は、140キロ後半くらいに感じていると思う。左右は違うが阪神のストッパーを務めている岩崎優のような手元で伸びるストレートの質。センスを感じる。それと同じ腕の振りで繰り出すチェンジアップがコントロールされていてよく落ちる。プロでも通用する特殊球。こういう特殊球を持っている投手は狙いだ」
同じくそのストレートに高い潜在能力があると評価するのが徳島商の森煌誠だ。1回戦の愛工大名電戦で10奪三振の1失点完投。最速は147キロを記録した。2回戦の智弁学園戦では、18安打12失点と打ち込まれたが、松井氏は、「社会人に進むそうだが、素材としては一級品。ピッチングを知っていてフォームもぶれない。やや肩の可動域が狭く、ボールがシュート回転するのが課題だが、そこを社会人の3年間で改善してくれば、間違くなくドラフト上位候補になると思う」と評価した。
春のセンバツ大会からの大きな成長を感じたのは沖縄尚学の東恩納蒼。初戦のいなべ総合戦で8安打を浴びながらも要所を締めて完封勝利。最速は145キロで、縦横のスライダーを駆使した投球術が光り、沖縄大会からの連続イニング無失点記録を40イニング3分の1まで伸ばした。
「春からの上積みを最も感じる投手。ボールの出し入れなどのセンスに磨きがかかっている。OBであるソフトバンクの東浜巨の高校時代に重なる」と松井氏。
まだ専大松戸の最速151キロを誇る大型右腕の平野大地が登場していないが、現時点でのノムさんの“右腕”の目に留まった夏の逸材投手は、以上の7人。夏の甲子園で経験を積みながら成長する投手も少なくない。徳島商の森以外は、3回戦に勝ち進んでおり、その投球に注目したい。