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18年ぶりの優勝へのカウントダウンが始まった阪神の岡田監督の何がどう変わったのか(写真・黒田史夫)
18年ぶりの優勝へのカウントダウンが始まった阪神の岡田監督の何がどう変わったのか(写真・黒田史夫)

なぜ阪神はマジック「29」を点灯させることができたのか…「広島と一騎打ちよ」と覚悟していた岡田監督の嬉しい誤算

 阪神が16日、マツダスタジアムでの広島戦に5-3で逆転勝利し、ゲーム差を8に広げて優勝マジック「29」を点灯させた。先発の大竹耕太郎(28)が1回に失点したが2回に集中打を浴びせて逆転。桐敷拓真(24)、岩貞祐太(31)、岩崎優(32)が無失点リレーでリードを守り切った。岡田彰布監督(65)は佐藤輝明(24)をスタメンから外すなど“我慢采配”から“アレ”へ向けての“勝負采配”にシフト。残り37試合にラストスパートをかける。

 鉄壁のブルペン陣が無失点リレー

 岡田監督は満面の笑みで白い歯を見せた。
 19試合連続無失点を続けていたクローザー岩崎が最後の打者、會澤を一塁ゴロに打ち取った瞬間だ。5-3のスコアで広島に逆転勝利をおさめマジック「29」が点灯した。
 「まだまだそれはあれよ。全然関係ないよ」 
 スポーツ各紙の報道によると岡田監督は気にも留めなかったという。
 マジックを点灯させたゲームは今季の阪神の強さを象徴するゲームだった。
 熱発明けの先発の大竹が1回に先に失点したが、2回にすぐさま逆転に成功した。スタメン落ちの佐藤に代わり5番に入った森下のライト前ヒット、ミエセスのショートへの内野安打で無死一、二塁とすると坂本が確実にバントで送り、今季恐怖の8番打者として威力を発揮してきた木浪が九里の初球を逆方向に運んで同点にした。大竹はバントに失敗。二死になったが、この時点で得点圏打率.390だった近本がライト前へ痛打。突っ込んできた野間が後逸するミスも重なり、ミエセス、木浪の2人が生還した。さらに中野もライト前へタイムリーを放ち、一気に4-1とゲームをひっくり返した。売り出し中のルーキーの森下、「還す、還る」の起爆剤となっている8番木浪、そして12球団ナンバーワンの1、2番コンビが躍動しての逆転劇である。
 ベンチの岡田監督にマジック点灯を確信させたのは鉄壁のブルペン陣である。6回に1点差に詰め寄られ、なお二死一塁から大竹を救援した桐敷はピンチを切り抜け、回跨ぎの7回も無失点に抑えて、8回には岩貞が三者凡退。無失点リレーである。
 広島の新井監督も執念を見せる。
 ビハインドの展開にもかかわらずに勝利パターンの継投で臨み、9回にはストッパーの矢崎まで投入したのだ。だが、阪神は、その新井采配を木っ端みじんにした。
 途中出場の熊谷が今季初ヒットとなるレフト前ヒットで出塁すると、坂本がバントで送り、続く木浪のレフトフライで、なんと熊谷がタッチアップで三塁へ進んだ。二死三塁で代打・原口。熊谷の好走塁がバッテリーにプレッシャーをかけて矢崎にウィニングショットであるフォークを使いにくくさせた。今季落ちるボールに対応できていなかった原口だが、ストレートを狙い打ちして2点差とする貴重なタイムリーがショートの右を抜けていく。
 ヒーローインタビューに指名された原口は、汗まみれになって、こう話した。
「敬宥(熊谷)も今シーズン初ヒットで良い流れを作ってくれて誠志郎(坂本)もいいバントしましたし、聖也(木浪)に進塁させてもらったので何とかブルペン陣の為にも1点という気持ちでした。何とか抜けてくれと思いながら出だしは走りました」
 いまや阪神名物になっているファインプレーもあった。大山は、6回に無死一、二塁のピンチに西川のライナーをファインプレーでキャッチして、そのまま一塁ベースへ飛び込んでダブルプレー。大山は9回にも一塁線を抜けそうな坂倉の打球をストップしている。

 

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