「彼は一体何者？」「なぜクロップ監督は同意したの？」遠藤航の名門リバプール移籍が決定的も英メディアや地元ファンは懐疑的見方

　ボルシア・ドルトムントやマンチェスター・ユナイテッドでプレーした香川真司（34、現セレッソ大阪）が30歳になった2019年の代表活動中にこう語っていた。
「30歳という年齢は、特にヨーロッパではシビアに見られる」
　リバプールのファン・サポーターも、遠藤の実力よりも30歳という年齢に対して、杓子定規的に拒絶反応を示しているのだろう。大衆紙の『THE Sun』も「いったい何が起きている？　リバプール、必死の守備的MF探し。無名の30歳を獲得へ」とした記事を掲載している。言うまでもなく「無名の30歳」とは、遠藤を指している。
　ドイツの大衆紙『Bild』が、シュツットガルトとの契約を1年間残していた遠藤に持ち上がった、今回の移籍交渉の舞台裏を報じている。
　記事によれば、リバプールがシュツットガルトに接触したのは今月15日だったという。ブンデスリーガに精通するリバプールのドイツ人スポーツディレクター、ヨルク・シュマットケ氏が遠藤について問い合わせ、同じくドイツ出身のユルゲン・クロップ監督(56)と遠藤が話し合いの場を持った。直後に遠藤がシュツットガルトへ移籍許可を求めた。
　シュツットガルトのクラブ公式X（旧ツイッター）は、昨シーズン途中の4月から指揮を執るセバスティアン・へーネス監督(41)のコメントを伝えている。
「彼には30歳にして、プレミアリーグのリバプールに移籍するチャンスがある。それは彼にとって夢だった。クラブの視点からすれば、私たちには経済的に大きな恩恵があります。競技面に関して言えば、私にとって嬉しいことではありません。航はプレーでも人間的にも非常に重要な選手、キャプテンですから。しかし、私は嘆き悲しむことはしません」
　指揮官のコメントが、シュツットガルトに在籍した4年間で2部から1部に昇格させ、直近では2シーズン続けて1部残留に貢献した遠藤の功績を認め、クラブ全体でプレミアリーグの、それもビッグクラブのリバプール入りへ背中を押したと物語る。
　ブンデスリーガの開幕戦を目前に控えた状況で、まさに電撃的に決まった今回のステップアップ。早ければ19日にホームで行われるプレミアリーグ第2節のボーンマス戦が遠藤のリバプールでのデビュー戦となる。