いまだノーアーチの夏の甲子園“大砲ビッグ3”佐々木麟太郎、真鍋慧、佐倉侠史朗の本当のプロ評価とは?
“広陵のボンズ”真鍋の最後の夏は衝撃的な終わり方だった。16日の慶応との3回戦。3-3で迎えた9回裏無死一塁のチャンスに3番の真鍋は、初球からバントの構えをして甲子園をざわつかせた。試合後、中井監督は「どっちでもいいという中途半端なサインを出してしまった」と、バントのサインではなかったことを明かしたが、真鍋が試みたバントは三塁への小フライとなって失敗。入学以来、2度目のバントだったそうだが、ネット上では、その作戦に賛否が飛び交った。
真鍋の甲子園成績は、2試合で打率.375、8打数3安打3打点。ノーアーチに終わったが、11日の立正大淞南戦の6回二死満塁から放った走者一掃のタイムリー二塁打が話題になった。逆方向の左中間に打ち上げた打球は、滞空時間が恐ろしく長く、結果、追いついていたレフトが浜風に流される打球の目測を誤って二塁打にしてしまったのだ。3回戦の慶応戦でも7回に外角へ落とされた変化球をうまく拾い、パワーだけではなく、対応力を身につけていることをアピールした。
「ほぼ右足は小さく上げるだけのノーステップ打法。ボールを引きつけて逆方向へも角度のある強い打球が打てる。もちろんスイングスピード、パワーは高校生の中ではズバ抜けていて、肩も強いので一塁だけでなく外野手もできるのかもしれない。時間はかかるが彼もドラフト1位で消える素材。ただ2年のセンバツで見たときからのパワーアップを感じない。佐々木と同じくインサイドのストレートに差し込まれる。チームバッティングを意識しているからか、自分が持つ最大の長所を伸ばすのではなく、小さくまとまりすぎている印象がある」と松井氏。
真鍋も大学、社会人ではなくプロ入りを志望している。
高校通算31本を誇る九州国際大付の佐倉は2回戦で土浦日大に0-3で敗れて1試合で甲子園を去った。1年秋の神宮大会で“四天王”の一人である左腕の前田悠伍から本塁打を放ち注目を集めた佐倉は、4度、打席に立ち、左飛、二直、三振、中前打という結果だった。4回一死二塁の場面では抜いた変化球をうまくとらえた。そのライナーを一塁手が弾き、カバーした二塁手がキャッチしてアウトになるという珍プレーで得点につなげることができなかったものの、0-3で迎えた9回には先頭打者として左腕のストレートをセンター前へ弾き返し主将の意地を見せた。
1m82、104キロの巨漢だが、グリップの位置が高く、右足を上げてタイミングを取るその打法にはパワーに頼らない柔軟性がある。
「3人の中で一番バッティングに柔らかさがあるのは佐倉だろう。ただ単純にスイングスピードで言えば3人のうち一番遅い。プロスカウトの評価としては3番目になるだろうか。上位では消えるが、1位指名となると厳しいかもしれない。ストレートに差し込まれ、スイングするというよりも合わせにいくようなバッティングになっていたのが気になった。時間はかかるだろうが、あのパワーとセンスは魅力」
松井氏の評価は佐倉に関しては若干厳しかった。
試合後、佐倉は「野球人としてそういうところでプレーしたい気持ちはある」とプロ志望に気持ちが傾いていることを明かしている。
ベスト8へ進み甲子園での頂点を目指す佐々木と、最後の夏を終えてドラフトを待つ真鍋と佐倉。“大砲ビッグ3”にどんな未来が待ち受けているのだろうか。
(文責・ROSNPO編集部)