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5ゴールをあげた宮澤ひなたが大会得点王に輝いた(写真・ロイター/アフロ)
5ゴールをあげた宮澤ひなたが大会得点王に輝いた(写真・ロイター/アフロ)

女子W杯で初優勝のスペインに黒星をつけた“なでしこジャパン”の「実力世界一説」を検証してみた

 技術の高さを証明したのが5ゴールをマークし、優勝した2011年ドイツ大会の澤穂希さん以来、2人目となる日本人得点王になった宮澤となる。
 スペイン戦でも2ゴールを決めている宮澤は、群を抜くスピードでカウンターから抜け出し、正確なシュートで次々とゴールネットを揺らした。鈴木氏は脚光を浴びた宮澤にしても、体幹の強さとパワーが「まだまだ足りない」と指摘する。
「それらが彼女に加われば、女子サッカー界のマラドーナのようなワールドクラスの選手になれる。それだけの可能性を持った選手だけに、スウェーデンに負けて悔しがるだけでなく、何が足りなかったのか、何が課題なのかをしっかりと振り返る必要がある。体幹は選手個々が意識してトレーニングを積めば、来年夏のパリ五輪までに十分に克服できる。30mを超えるパスも、20mを超えるシュートも、トレーニング次第で十分に繰り出せるようになる」
 宮澤自身も課題を手土産に帰国したのだろう。日本サッカー協会を通じて発表された、得点王受賞を受けたコメントのなかでこう語っている。
「より勝負のかかった場面、試合で重要なプレーができるようにならなければいけないと感じた大会でもありました。これから続く戦いではチームを勝利に導くプレーを見せられるよう、その上でまたこういった賞をいただけるように努力を重ねていきます」
 10月下旬からはウズベキスタンで、来年のパリ五輪出場をかけたアジア2次予選が開催される。ベトナム、ウズベキスタン、インド各代表と対戦した先の来年2月下旬には、ホーム&アウェイ方式で行われる同3次予選が待つ。わずか「2」しかないアジア枠を手にする戦いでは、今回のW杯でベスト4に入ったオーストラリアと対戦する可能性もある。
 決勝トーナメントからコルが守護神に昇格したように、スペインは優勝へ向かいながら選手個々や集団でも成長を遂げた。鈴木氏も「五輪予選などの公式戦期間中にチームとして成長しないと、スペインには追いつけない」と今後へ注文もつける。
所属チームではフィジカルや体幹の強さを含めた「個」の、代表に招集されたときには「チーム」の成長をそれぞれ追い求める。真冬の南半球で世界を驚かせたなでしこは世界一奪還を目標にすえながら、個々が掲げる視線の高さも求めていく。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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