「全然サインなんか出していない」なぜ阪神は巨人から10四球をもぎとり6連勝を果たせたのか…木浪の満塁弾と100個以上違う四球数
阪神が26日、東京ドームでの巨人戦に9-6で快勝して6連勝、Vマジックを「21」に減らした。阪神は引き分けを挟んで敵地、東京ドームでの巨人戦に6連勝となった。1点を追う阪神は5回に木浪聖也(29)の2点適時打で逆転すると7回にはその木浪がプロ入り初となる満塁弾で勝負を決めたが、ボディブローのように効いたのは巨人の投手陣から奪いとった10四球だ。岡田彰布監督(65)は連勝中に「もうサインなんか出していない」という。今季の四球数は阪神が407で巨人が278で129個もの差があり、今季の虎の快進撃を象徴するようなゲームになった。
「僕はつなぎの8番打者」
その瞬間、岡田監督は白い歯を見せ手を叩いて立ち上がり、原監督はこわばった表情で凍りついた。4-3で迎えた7回一死満塁から飛び出した木浪のグランドスラム。無死満塁から坂本が三振し「無死満塁で先頭打者が倒れると点が入らない」のジンクスがちらついたが、カウント0-1から鈴木康が高めに投じたスライダーの失投を見逃さなかった。今季1号で満塁弾はプロ5年目で初。木浪は1点を追う5回にも逆転の2点タイムリーをマークしていた。
この試合のヒーローは、「(本塁打は打った瞬間)行ったなという感じ。唯一自分だけホームランを打っていなかったんで、こういう形で1本が出たのは凄く大きい。ほんと良かった。つなぎの8番でチャンスメイクとか、自分のできることをしっかりとやろうと」と、サイクル王手の1日を振り返った。
2回に“サトテル”の15号ソロで先制したが、ボールひとつ分のコントロールに苦しむ先発の青柳が4回、二死から丸に2ランを浴びて逆転された。そのゲームを再度、逆転して、大きく突き放して最後は9-6のスコア。
リードを許しても岡田監督は負ける気がしなかったという。
「一回逆転されてね。あの(丸の)ホームランで。でも、もうちょっと点が取れそうだった。今日はこういうゲーム展開かなというのはあった。(7回一死満塁から木浪に)ヒットは出るかなと思ったけど。まさかホームランとは。1号ですもんねえ、これが。その前のタイムリーも満塁で打ったし、前の坂本が三振した後だったでしょう。最低でも犠牲フライ。犠牲フライだったら、次は(9番の桐敷に)代打(糸原を)いってたんですけどね、1点やったら。でも一番いいところで一番いいホームランが出たんじゃないですかね」
派手な試合に見えるが、巨人をKOに追い込んだのは、まるで“モンスター”井上尚弥のボディブローのように効かせた10個の四球だ。5回の木浪の逆転タイムリーは、二死一、二塁から坂本が四球を選んでつないだものだったし、7回の満塁舞台もノイジー、佐藤の連続四球で作ったもの。
原監督は7回の木浪の満塁弾の後に、さらに二死から鈴木康が近本に四球を与えたところでマウンドに行き、怖い顔をして、その背中を叩いて交代を告げた。しかし、次の今村も中野に四球を与え、森下のタイムリーで9点目を献上。阪神打線の勢いという名のプレッシャーが、巨人投手陣を必要以上に警戒させて自滅を誘っているのである。
今季のチーム四球数の407は両リーグ通じて断トツのトップだ。対する巨人は278。100個以上違う。ゲーム数は阪神が1試合だけ多いのだが、ヒット数は巨人が990本で阪神が956本。本塁打数は巨人が135本で阪神は61本で倍以上違う。だが、「ヒットも四球も一緒やんか」という岡田監督の言葉を借りれば、その差を四球でおぎっている。得点数は阪神がリーグトップの449点で巨人が439点。今季の阪神の強さを象徴するような試合になったのである。