「全然サインなんか出していない」なぜ阪神は巨人から10四球をもぎとり6連勝を果たせたのか…木浪の満塁弾と100個以上違う四球数
それにしても、なぜ今季の阪神は劇的に四球数が増えたのか。昨年はシーズンを通じても358個しかなかった。1試合平均にすると昨季は約2.5個で今季は約3.6個。先日、岡田監督から話を聞く機会があり、その理由を直撃した。
「オレ選手に言うてきたやん。初球でもたとえ追い込まれてもホームベースの大きさは変わらへんよと。そういうことやん。フォークを打つにはどうしたらいいんですか? いやいや、空振りするフォークって見送ったらボールやん。ボールを打つ練習する必要なんかないやんか」
岡田監督は、昨秋キャンプから、このホームベースの大きさの訓話を機会がある度に選手に熱弁してきた。
岡田監督は「ボール球を選べ!」とは選手にひとことも言っていない。ここがミソ。つまり待球で四球を選ぶのではなく、狙い球を絞り、打ちにいく姿勢を失わずにホームベース上のボールだけを打つ。発想の転換であり、物事の見方を変えたことが、打者の意識改革となったのである。加えて岡田監督が開幕前にフロントに掛け合い、四球の査定ポイント評価を変えて、年俸に跳ね返るようにしたことも大きく影響している。
昨年の四球数が18個だった中野がすでに50個を選んでいるのが、その典型だろう。今のところ、チームに3割打者は一人もいないが、75個で四球数がリーグトップの大山を筆頭に、近本が60個で3位、中野が5位、47個の佐藤が6位にランキングされている。
もう阪神の勢いは止まらない。
岡田監督は、こんな話もしていた。
「ここ最近は、全然、サインなんか出してへん。一人一人がやるべきことをわかってきたよな。だから新聞記者にも言うたんよ。(マジックが出て残り試合が30試合になっても)鞭なんか入れる必要はあらへんと。1試合、1試合、普通にやっていたらええだけよ。開幕の時に言うたよな。5月より6月、7月より8月、9月と、どんどんチームが強くなっていくと。だから、もうオレが、ここぞという時以外になんもせんでもよくなっている」
“オートマチック野球”と書けば言い過ぎか。
この日は、青柳から桐敷―加治屋―岩貞―石井―岩崎と細かく丁寧につないで巨人の反撃を食い止めた。継投に関しては、これからも指揮官が頭をひねりながら人選しなければならない。ただ、打線を動かすのは相手投手の左右で佐藤とノイジーの打順を入れ替えるくらい。岡田監督が繰り返し口にする「普通の野球」をやれば、負けないチームになりつつある。
木浪が、そんな空気をこう代弁した。
「やることは変わらない。1日1日しっかりと勝ってみなさんと勝利をわかち合いたい」
7連勝をかけた今日27日の先発は5連勝中の左腕の伊藤将だ。
(文責・ROSNPO編集部)