「大谷に責任を押しつけている」米メディアはエンゼルスGMの「大谷検査拒否」暴露を管理責任を問われていた球団の自己弁護と批判
右ヒジの靭帯損傷の発表直後に、ロサンゼルス・タイムズ紙は「エンゼルスは大谷を見殺しにした」との厳しい見出しを取って批判記事を展開している。
「ドジャースやヤンキースと異なりエンゼルスは大谷に対してノーといえる立場になかった。彼らは、彼の打撃、あるいは、ヒジの修復手術に至った後の投球も、彼に断念させることを伝えられなかった。エンゼルスは大谷個人の(野球レベルの高見を求める)追及が、重要な部分(肉体の健康)に代償を及ぼすことを彼に語ることがなかった。エンゼルスは野球の大事な部分でプレーしていなかった」と批判。
「大谷へ自由を与えたことで、彼は第一級の投手、打者となり野球界に置いて最も素晴らしい3シーズンを生み出すことを可能にした。しかし、同時に、これらの自由が、水曜日の惨事の結果をもたらす管理の欠如につながった」とまで断言した。
つまり決して休もうとはしない大谷の前向きな意思を尊重しすぎてコントロールできなかった球団の管理体制を非難したのだ。
ヤフーニュースが伝えたようにミナシアンGMが大谷の検査拒否を明かしたのは、それらの非難に対する“言い訳”なのだろう。
ニューヨークデイリーニューズ紙も「野球界で最高の選手がエンゼルスの監視の前で傷つき、球団がプレッシャーを受けている」とし、「大谷は水曜日に内側側副靭帯の損傷と診断されたが、それよりも早く検査でヒジの張りやダメージを見つけることができたかもしれなかった。エンゼルスは、怪我の治療で彼の登板を止めさせ、最悪のシナリオとなる損傷を避けられる可能性があったのかもしれない」と、球団の管理責任を問う論調で報じた。
同紙は、過去にメッツでも、選手が検査を拒否して球団が説得を怠ったため故障に至った例があることを紹介した。2017年に右腕のノア・シンダーガードが、肩のMRI検査を拒否。当時のサンディー・アルダーソンGMは「私は彼を縛り付けて、検査機に投げ込むことはできない」との「悪名高きコメント」を残したという。結局、シンダーガードは、広背筋を損傷して戦線を離脱することになった。
「ミナシアンGMは、彼と大谷の間で、お互いに強い信頼関係があったと語った。しかし、エンゼルスは、大谷に彼の判断を任せる自主性を与えすぎたことで批判を浴びるに至った。大谷は、プレーする、しないのほとんどを自分で判断し、球団は制限を少なくすることで彼のポテンシャルを引き出すことができると信じていたようだ。しかし、残念ながら彼らは故障をさせてしまった」
同紙も大谷を管理できなかった球団の体制に疑問を投げかけている。
エンゼルス幹部が暴露した「大谷の検査拒否」の問題は、今オフにFAとなる大谷の去就にも大きな影響を及ぼしそうだ。