なぜJリーグで危険なプレーを見過ごす誤審が生まれたのか…審判委員長が神戸のMF齊藤未月が重傷を負った柏レイソル戦でレッドカードを出さなかった誤審を認め謝罪
戸嶋に関しては、ボールにタックルしているとしてカードの対象にはならないと判断された。今村主審に関しては、主審を務める上での割り当てが一定期間停止され、扇谷委員長によれば「研修期間を設ける必要があると考えている」という。
意見書を提出していた神戸側へも、すでに説明の場を設けたと明かした扇谷委員長は、一時はジエゴと戸嶋に誹謗中傷が殺到した状況を受ける形でこう語る。
「柏の選手も決してわざとやっているわけではない。ただ、結果としてレッドカードに相当するプレーと判断されましたが、私がこの場でそういう話をすることで、また柏の選手に何かがいってしまう状況になってしまうのは避けてほしいと思っている」
今シーズンに湘南ベルマーレから期限付き移籍で加入した齊藤は、豊富な運動量を駆使して中盤の一角に定着。武器である相手ボールの奪取力やセカンドボールの回収力をフルに発揮し、開幕から上位につけてきた神戸をけん引してきた。
齊藤本人は、神戸から検査結果が発表された直後に自身のインスタグラムを更新。長期離脱を強いられた胸中に抱く思いを綴っている。
「とにかく今はゆっくり時間をかけて復活するためのプランを自分の中で考えておきます!どこかで僕に会った時は悲しい顔をせず笑顔でエネルギーを僕にください!全部吸い取って強くなるので。そして今できることはヴィッセル神戸の優勝の為に力を貸すことです。ポジティブなエネルギーをチームにもたらせるように全力で向き合いたいと思います」
誤審が認められ、レッドカード相当という見解を示されても、ジエゴに対する追加処分などは科されないという。今村主審の研修に関しても、期間などの詳細はノーコメントとされた。神戸のファン・サポーターを中心にもどかしさが募るなかで齊藤が示した、ポジティブで前向きな姿勢が唯一の救いになる。
(文責・藤江直人/スポーツライター)