「井上尚弥をぶっ倒す前に…」と挑戦状を叩きつけたカシメロが10.12有明で日本初上陸…亀田和毅、比嘉大吾との交渉決裂で対戦相手は“大物食いの曲者”元世界王者の小國以載
プロボクシング「トレジャーボクシング4」(10月12日・有明アリーナ)の発表会見が28日、渋谷で行われ、メインでは元3階級制覇王者でWBO世界スーパーバンタム級3位のジョンリール・カシメロ(33、フィリピン)が元IBF世界同級王者の小國以載(35、角海老宝石)とスーパーバンタム級10回戦で対戦する。カシメロは主催者を通じて因縁のWBC&WBO世界同級王者の井上尚弥(30、大橋)に挑戦状を叩きつけた。その野望の前に立ちはだかるのが、プロ戦績が25戦21勝(8KO)2敗2分で、かつて無敗の世界王者を倒しジャイアントキリングを起こした経験のある“大物食いの曲者”小國。「負けたら引退」の覚悟で、プロ野球などで使われている解析データをボクシングに応用するIDボクシングを採用して“カシメロ狩り”に挑むという。またアンダーカードにはOPBF東洋太平洋バンタム級王者、栗原慶太(30、一力)対フローイラン・サルダール(33、フィリピン)、WBOアジアパシフィック・スーパーウェルター王者、井上岳志(33、ワールドスポーツ)対サエンガナン シッサイトーン(23、タイ)のタイトル戦が組まれた。
IDボクシングで“カシメロ狩り”
モンスターをつけ狙うカシメロがついに日本に上陸してくる。
フィリピンからオンラインで参加する予定だった会見は、キャンセルになったが、主催者を通じて「井上尚弥をぶっ倒す前にもう1度、日本人を赤穂と同じ結果にするよ。その次は井上だ」と“挑戦状”を叩きつけた。
昨年12月に韓国で対戦し元OPBF東洋太平洋スーパーフライ級王者の赤穂亮をわずか2回で戦意喪失に追い込んだ試合を持ち出して、井上への“前哨戦”への意気込みを語った。
プロモーターの元WBO世界スーパーフェザー級王者の伊藤雅雪氏も、「この試合は、幻に終わったカシメロと井上尚弥の試合を実現させるために組んだ」と断言。幻に終わった試合とは、2年前に一度はラスベガスで対戦することが決定していた井上vsカシメロのバンタム級の統一戦。新型コロナの影響で流れ、その後、カシメロは、執拗に挑発を繰り返していたが、失態を続けてWBOのベルトを失ったことで両者の対戦は実現しなかった。
伊藤氏は、当初、カシメロにふさわしい対戦相手として元2階級制覇王者で井上との対戦を熱望していた亀田和樹(32、TMK)、元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(28、志成)の2人と交渉していたが、亀田はファイトマネーで折り合いがつかず、比嘉はバンタム級に照準を絞っているために合意に至らず、“最終兵器”の小國にターゲットを変えてオファー。小國は「ランキングからも漏れている僕にとってこんなチャンスはない」と即決した。
伊藤は「カシメロには井上尚弥戦を実現するためにアピールして欲しいが、小國は、何かをしでかすボクサー。ボディアッパーで倒すシーンや、空回りさせる可能性があるかもしれない。そうなると、ここまで描いてきたプランが台無しになって痛手。複雑な気持ちでマッチメイクした」と明かす。
その小國は会見にジムの後輩にフィリピン土産で買ってきてもらったカシメロの顔が大きくプリントされたTシャツを着てきた。カシメロが会見に参加しなかったこともあって、ちょっとした“寸劇”をやった。
「今からどんな感じで戦うか聞いてみますね?」とTシャツの胸に描かれたカシメロにマイクを向けた。声色を変え、カシメロになりきった小國は、なぜか日本語で「3ラウンドに倒す!」と答え、会場を爆笑に包んだ。
「厳しいと思われていると思う。総合的に自分が勝っているものはない。でも1万回やって1回勝てばいい。作戦とかがすべてが噛み合えば、変わるのがボクシング。隙がないこともない。チャンスなんで驚かせる試合をして勝ちたい」