ラ・リーガの2部チームでプレーしていた柴崎岳が“古巣”鹿島に電撃復帰(写真:なかしまだいすけ/アフロ)
ラ・リーガの2部チームでプレーしていた柴崎岳が“古巣”鹿島に電撃復帰(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

なぜ柴崎岳は“古巣”鹿島への電撃復帰を決断したのか?

 鹿島アントラーズは1日、元日本代表MF柴崎岳(31)の加入が基本合意に達したと発表した。昨シーズン限りでラ・リーガ2部のレガネスを退団し、無所属となっていた柴崎には、青森山田高時代の恩師・黒田剛監督(53)が率いるJ2のFC町田ゼルビアをはじめ、複数のJクラブが獲得に乗り出していた。争奪戦が繰り広げられていたなかで、約6年半ぶりに古巣へ復帰する柴崎は、鹿島を通じて「日本でプレーする時はまたアントラーズで、と思っていました」と胸中を語った。

 「日本でプレーする時はまたアントラーズで、と」

 

 初志を貫いて、愛着深い古巣へ柴崎が帰ってくる。
 昨シーズン限りで3年間所属したラ・リーガ2部のレガネスを退団し、無所属となっていた柴崎の加入が合意に達したと発表されたのは1日午後7時すぎ。予期せぬ吉報に鹿島のファン・サポーターも狂喜乱舞したのだろう。一報を伝えたクラブ公式X(旧ツイッター)の投稿のリポスト数は、日付が変わる時点で1万件を大きく超えていた。
 ラ・リーガ2部のテネリフェへ移籍した2017年1月以来、約6年半ぶりに古巣へ復帰する柴崎は鹿島の公式HP上で第一声を届けている。
「もう一度、鹿島アントラーズのユニフォームを着てプレーできることを嬉しく思います。日本でプレーする時はまたアントラーズで、と思っていました。実現するために協力していただいた関係者の皆さんに感謝したいです。そして、アントラーズがタイトルを獲得できるよう、自分のベストを尽くします。カシマスタジアムで会いましょう」
 ヨーロッパの夏の移籍期間は、現地時間1日で最終日を迎えた。ただ、無所属選手は移籍期間に関係なく契約が可能になるため、柴崎もファーストプライオリティーを引き続き海外クラブに置きながらレガネスに続く新天地を探してきた。
 しかし、Jリーグはシステムが異なっていて、無所属選手などを対象とした追加登録期間が8日で締め切られる。ヨーロッパ各国のリーグ戦の新シーズンがすでに開幕している状況で、今後の可能性を見極めた柴崎は日本への復帰を決断した。
 移籍金が発生しない柴崎に関してはこの夏、高校時代の恩師・黒田監督が率いる町田をはじめ、複数のJクラブが獲得に乗り出していた。しかし、前出のコメントで明言しているように、鹿島以外のJクラブではプレーしないと以前から心に決めていた柴崎は、オファーを出しながらも結論を急がせず、ギリギリまで待っていてくれた鹿島を迷わずに選んだ。
 鹿島でつける背番号に、柴崎の覚悟と決意が反映されている。
 2018年のロシア、昨年のカタール両W杯を含めて、日本代表で長く背負ってきた「7番」が、MFファン・アラーノ(27、現ガンバ大阪)が移籍した昨年7月から空いていた。しかし、柴崎が選んだのはDFキム・ミンテ(29、現湘南ベルマーレ)の期限付き移籍に伴い、この7月から持ち主不在になったばかりの「20番」だった。
 青森県出身の柴崎は地元の強豪・青森山田高2年の時点で鹿島と仮契約し、2011シーズンから正式に加入した。ルーキーイヤーから「10番」を託される2016シーズンまで、5年間にわたって背負ったのが「20番」だった。スペインでプレーしていた間も愛着を注ぎ続けた鹿島へ、初心に返った上ですべてを捧げたいという思いが伝わってくる。
 鹿島の公式Xも加入合意の第一報に続いて、かつて鹿島で活躍した6シーズンにおける名場面を1分間にまとめた動画を、ハッシュタグ「#welcomeback」とともに投稿。そこでも「20番」をつけた柴崎が、鮮やかなゴールを何度も決めている。
 投稿には期待が込められた、熱い返信が集中している。
「嘘じゃないよね?夢じゃないよね? これ現実ですか」
「泣く……マジで泣く……これはもうタイトル奪還するしかねーよ」
「岳さんおかえりなさい!必ず帰って来てくれると信じていました」
「町田じゃなくて良かった」

 

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