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“ボールガール事件”のブズコバが唯一エントリーしていたシングルスで敗れて全米OPを去る。重傷を負いながらも最後までプレーした(写真・AP/アフロ)
“ボールガール事件”のブズコバが唯一エントリーしていたシングルスで敗れて全米OPを去る。重傷を負いながらも最後までプレーした(写真・AP/アフロ)

「また勝つためにズルを?」「多くのファンを獲得した」“ボールガール事件”ブズコバが全米OPで右足内転筋断裂の重傷を負いながらも最後までプレー…SNS上では称賛と非難の声が交錯

 テニスの全米オープン女子シングルス3回戦が2日(日本時間3日)、米国ニューヨークで行われ、加藤未唯(28、ザイマックス)組の失格を審判に訴えた全仏オープンの“ボールガール事件”を境に、世界中から非難を浴びているマリエ・ブズコバ(25、チェコ)が世界ランキング5位のオンス・ジャバー(29、チュニジア)にフルセットの末に逆転負けした。女子ダブルスにエントリーしていないブズコバは、あと一歩で金星を逃す惜敗で、今年のグランドスラムを終えたが、SNS上では試合中に右足内転筋断裂の重傷を負いながらも最後までプレーした姿への称賛と非難の声が交錯する状況になった。

 ファンが万雷の拍手で称賛

 

 晴れやかな笑顔とともにブズコバが全米オープンから姿を消した。
 最終第3セットの第9ゲーム。ジャバーにダブルマッチポイントを握られながら、何とかデュースに持ち込んだブズコバの右足はすでに限界に達していた。アドバンテージを奪われると、続くラリーでもフォアハンドをネットに引っかけてしまった。
 第1セットを7-5で先取し、タイブレークにもつれ込んだ第2セットも勝利まであと2ポイントに迫りながら6-7で奪われ、迎えた最終セットも3-6で落とした。先のウィンブルドン選手権で準優勝した世界ランキング5位の強敵を追い詰めた、2時間56分に及ぶ死闘を終えたブズコバの第一声を、チェコメディアの『iROZHLAS』が、こう伝えている。
「負けたのは残念だけど、ここまでプレーできた自分を誇りに思う」
 異変が起こったのは第2セットの第7ゲームを終えた直後だった。
 ブズコバが突如としてメディカルタイムアウトを要求。大会のメディカルスタッフが、右太ももの内側あたりの状態を確かめ始めた。しかし、痛みが収まらなかったブズコバはバックステージに姿を消し7分近くにわたって治療を受けた。
 同メディアによれば、ブズコバは右足内転筋を断裂していたという。それでも最後までプレーしたのは、おそるべき精神力だ。
 全米オープンの前哨戦として出場したウェスタン&サザン・オープン(米オハイオ州シンシナティ)の女子シングルス準々決勝で、同胞のカロリナ・ムチョバ(27、チェコ)と戦った際に、右足を痛めて途中棄権を余儀なくされていた。
 翌週のWTAツアーには出場せず、回復に努めたブズコバは何とか全米オープンに間に合わせた。過度な負担をかけないために女子ダブルス出場を断念してシングルス1本に絞ったが、ジャバー戦の第2セット開始直後から痛みが再発した。別のチェコメディア『iDNES.cz』がブズコバ本人の言葉を、こう紹介した。
「第2セットの最初の段階で『プレー続行は無理かもしれない』と思った。それでもタイムアウト中に理学療法士が右足全体と背中にテーピングをしてくれて少し楽になり、時間の経過とともに薬も効いてきたなかで、最後まで全力を尽くすと自分自身に誓っていた」
 右足にトラブルを抱えたブズコバを左右だけでなく前後にも走らせようとジャバーはラリーのなかに何度もドロップショットを織り交ぜてきた。そのたびに必死に食らいつき、死闘の末に敗れた後には笑顔で勝者と抱き合ったブズコバを、センターコートのアーサー・アッシュ・スタジアムを埋めたファンは万雷の拍手で称えた。

 

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