なぜ近本死球に激怒した阪神の岡田監督はあえて高津監督に苦言を呈したのか…語っていたヤクルトへの不信感と“アレ”の心配事
阪神が3日、神宮球場でのヤクルト戦に7-1で快勝して3連勝、広島が中日に敗れたため優勝マジックは「15」となった。佐藤輝明(24)と森下翔太(23)がアーチを共演し伊藤将司(27)が90球の1失点完投勝利を遂げる理想的な試合内容だったが、9回に近本光司(28)が骨折していた脇腹にまた死球をぶつけられ途中交代するというアクシデントがあり、場内は騒然。骨折で離脱中の梅野隆太郎(32)がぶつけられたのもヤクルト戦とあって試合後に岡田彰布監督(65)も激怒して苦言を呈した。
神宮に飛び交う怒号
神宮が騒然となった。阪神が7-0の大量リードで迎えた9回。この回からマウンドに上がったヤクルト3番手の左腕、山本が、先頭打者の近本に投じた2球目が、右脇腹を直撃。近本は、苦悶の表情を浮かべて、その場に倒れ込み、顔を地面にうずめたまま動かない。山本は帽子を取って謝ったが、阪神の観客席からは「近本、頑張れ!」の激励と「ええ加減にせえよ」などの怒号が飛び交い、異様な雰囲気になった。しばらく様子を見ていた岡田監督は憮然とした表情で球審に選手交代を告げた。
近本は、7月2日の巨人戦で高梨から同じく右脇腹に死球を受けて右肋骨を骨折する重傷を負い、登録を抹消された。奇跡的に早期回復し、7月22日に戦列復帰したが、骨折が完治しているわけではなかった。その同じ箇所にまた死球を受けたのだから、近本の痛がり方が尋常ではなかったのも当然だろう。
ゲームセットの後、岡田監督は、すぐに出口へ向かおうとはせず、しばらくベンチ前に立ち止まり、ヤクルトのベンチを睨んでいた。だが、高津監督の姿は、そこにはなかった。
デイリースポーツなどのスポーツ各紙の報道によると、岡田監督は、「あきれるよな。おらんかったんよ、高津がベンチに」と、すぐに謝罪の姿勢を見せなかったヤクルト指揮官の態度に疑問を呈し、「情けない。2年連続優勝したチームやしのう」「そういうチームなんやろ」と、怒りのコメントを発したという。
ヤクルトは、今季これで58個目の与死球。セ・リーグでも断トツの数字だ。ちなみに阪神の与死球は40個しかない。しかも、8月13日のヤクルト戦では、梅野が今野から左手首付近に死球を受け、左尺骨の骨折で今季絶望となっていた。岡田監督が、そのコメントに怒りをにじませたのも無理はない。
山本は昨季7月にロッテからトレードで移籍してきた6年目の左腕。今季は37試合に登板して防御率2.76の成績を残している。近本への1球はツーシームが抜けてのコントロールミス。「技術がなかった」ということなのだろう。
だが、スコアは7-0。ヤクルトは借金22を抱えての5位で、CS出場圏内まで13.5ゲーム差がある状況を考えると、あの場面で、カウント0-1から、捕手の松本直が内角に極端に体を寄せて死球の危険性があるインサイドのボールを要求したことも理解し難い。「申し訳なかった」「ぶつけようとしたわけではない」のコメントで済まされる問題ではない。