「社会的制裁は受けた。無償トレードではなく来季開幕で西武の打席に立たせてやるべき」西武の元大物監督は山川穂高の無期限出場停止処分を支持して来季解除を提言
西武は4日、知人女性への強制性交の疑いで書類送検されたものの嫌疑不十分で不起訴処分となった山川穂高(31)を無期限の公式試合出場停止処分とすると発表した。処分内容はすでに本人にも通告された。また管理側の責任を問う形で球団本部長の飯田光男氏が役員報酬の一部を自主返納することが合わせて発表された。今回の処分決定と、この先の去就を巡って、ネットやSNS上では「妥当な処分」「曖昧な決定」「引退すべき」「オフに無償トレードでは?」などの様々な意見や憶測が飛び交っているが、元西武監督で球界大御所の広岡達朗氏は、「社会的制裁は受けた。来年はグラウンドに立たせてやるべき」と提言した。
残り17日だった国内FA権取得も消滅
山川の不起訴処分が決まって6日後に西武が動いた。5月上旬に週刊文春によって山川の不祥事が表沙汰になって以来、正式な処分決定を保留していた球団が、公式戦への無期限出場停止処分を下した。5月12日に1軍登録を抹消。以来、2、3軍での練習は認めるものの試合出場は許さない事実上の謹慎処分を科していたが、正式に処分が下された。
奥村剛球団社長は、「ファンの皆さま及び全ての関係者の皆さまに多大なるご迷惑とご心配をおかけいたしましたことを深くお詫び申しあげます」と謝罪した上で、「検察庁の判断としては不起訴処分となりましたが、球団として今回の事態を重く受け止め、本人の猛省を促すべく上記の処分(無期限公式試合出場停止)といたしました。 当球団では、地域・社会から信頼されファンの皆さまから愛される強い球団となるため、『西武ライオンズ憲章』を定めております。この憲章の精神に則り、ファンの皆さま及び全ての関係者の皆さまの信頼回復に努めてまいります」と説明した。
西武は「フェアプレーの精神に基づき、社会と球界のルールを守り、常に良識かつ品位を持って誠実に行動します」など5箇条の「西武ライオンズ憲章」を定めている。
この処分を受けて沈黙を守ってきた山川も球団を通じてコメントを発表した。
「この度は、ファンの皆様、球団、NPB及びスポンサーの関係者をはじめとした皆様に多大なご迷惑をおかけしましたことをお詫びいたします。捜査機関には、当初より事実をお話させていただき、全面的に捜査に協力してまいりました。今般、不起訴と判断されましたが、そもそもの主たる原因は、わたしがプロ野球選手という立場をわきまえずにした行動が招いたものであり、深く反省しています。この件に関する球団から下されました処分内容に関しまして真摯に受け止め、今後は一つ一つ目の前のことに取り組み、再びチームの役に立てるように地道に練習に励みます。これまで応援を寄せてくださったすべての皆様、また、プロ野球界の全てのファンの皆様に心からのお詫びと感謝の気持ちを申し述べます」
山川は5月23日に知人女性への強制性交容疑で書類送検されたが、その際に検察に起訴か不起訴かの判断を委ねる異例の「相当処分」の意見が付けられており、不起訴処分になる可能性が高いと見られていた。6月21日に開かれた西武ホールディングスの株主総会では、株主から「起訴、不起訴にかかわらず解雇せよ」という厳しい意見や「早く復帰してほしい」と復帰を求める意見が出た。その際、奥村社長は、深く頭を下げて謝罪し、「検察庁の判断を待ち、関係各所のご意見をお伺い適切な対応をしたい」と返答していた。
山川側は和解金を支払わず容疑に関する“無罪”を主張してきたが、まだ被害を訴えている女性側が、不起訴処分に対する検察審査会への不服申し立てを行うことや、民事訴訟を行う可能性も残っており、解雇の次に厳しい処分を下したとみられる。無期限という決定は、今後、出場停止処分が解除される可能性のあるものだが、今季は残り24試合しかないため、事実上、今季の出場はなくなったと見ていいだろう。山川は、1軍登録日数が残り17日で国内FA権を取得できていたが、今オフにFAとなる可能性も消滅した。