阪神が最下位中日を蹴散らしてマジック「14」…目標のあるチームと目標を失ったチームの“違い”につけこんだ岡田野球とは?
3回に1点を返され5-1となった4回。先頭の森下が中前打で出塁すると続く中野には手堅くバントで送らせたのだ。そして二死から大山が3打席連続となる四球でつなぎ、ここにきて思いきりよくバットを振れ始めた佐藤が凄まじい打球をライト線に打ち返した。瞬く間に打球はゴロでフェンスに到達。2者が生還するタイムリー三塁打となり6点差に広げた。さらに型にはまった打撃しかできないノイジーが珍しく体勢を崩しながらも変化球に反応して拾うような打撃でレフト前へタイムリーを放ち、勝利を決定的にした。
デイリースポーツなどスポーツ各紙の報道によると岡田監督は「勝ち越したら1点ずつでええ。目標のあるチームと、ないチーム(の違い)はリードをしとけば、反発力がないやんか。大量点はいらん。1点ずつでええ」と作戦の根拠を説明したという。
最下位の中日はCS圏内の3位、横浜DeNAまで15ゲーム差もあり目標を持てずにいる。チームに粘りや集中力が欠けることを岡田監督は見透かして采配をふるったのである。機会があれば、その際の気持ちを詳しく紹介するつもりでいるが、岡田監督はオリックス監督の3年目となる2012年にチームが最下位に低迷し、シーズン終了を待たずして残り9試合で途中解任されたという屈辱の経験がある。目標を失ったチームの弱さを痛いほど知るだけに攻略法にぬかりはなかった。1点ずつ着実に得点を重ねていくことが、逆転へ向けて一丸となる気力を失ったチームに対しては想像以上にダメージを与えるのだ。
今季のチーム四球数は阪神がリーグトップの437個で中日がリーグワーストの262個。岡田監督の言葉を借りれば「1つの四球は1本のヒットに値する」。徹底してきた野球の積み重ねの違いが、数字の明暗となって出ている。
敗戦濃厚だった広島が土壇場の9回に横浜DeNAに追いつき、延長戦の末、執念のサヨナラ勝ちをしたため、ゲーム差は7.5のまま変わらなかったが、マジックを「14」に減らした。8日からは、甲子園で岡田監督が「そこで勝負が決まるやろ」と断言している2位の広島との3連戦が控える。できれば5連勝の勢いでカープを迎えて引導を渡したい。そのためにも重要な今日6日の中日戦の先発は、8月10日の巨人戦以来の復帰登板となる才木だ。
(文責・RONSPO編集部)