「もうXデーを待つだけだ」“球界大御所”が阪神対広島の直接対決前に太鼓判…広島が残り17戦全勝でも阪神12勝9敗でOKのVライン
いよいよ今日8日から首位阪神と2位広島の3連戦が甲子園で行われる。阪神は5連勝中だが、広島は7日、横浜DeNAに1-3で敗れたことでマジックが「12」に減りゲーム差は8に開いた。阪神が3連敗しても5ゲーム差の余裕がある。巨人OBで元ヤクルト、西武監督の広岡達朗氏は「もう阪神はXデーを待つだけだ。広島とは監督、コーチの経験の差が出た」と虎の18年ぶりの“アレ”に太鼓判を押した。注目の第1戦は防御率タイトルを争っている村上頌樹と床田寛樹の両先発の対決となる。
「ベテラン監督と1年生監督の差」
首位攻防戦と呼ぶにはゲーム差が開きすぎた。
2試合連続サヨナラ勝ちの執念を見せていた広島が横浜DeNAの東に完投勝利を許して敗れたことで、マジックは「12」に減り、ゲーム差は8に開いた。しかも、残り試合が阪神が21試合あるのに対して広島は17試合しかないため、机上のVラインは虎が圧倒的に有利となった。広島が17戦を全勝しても阪神が12勝9敗で乗り切れば広島の85勝を上回ることになる。岡田監督の背番号の「80」をVラインの目安とすれば、広島は12勝5敗で80勝、阪神は7勝14敗で81勝。阪神がよほどの大型連敗をして広島が大型連勝しない限り、岡田阪神の“アレ”は揺るがない。
「ここが最後の勝負やな。3連敗だけはしたらあかんけど楽しみやなあ」
RONSPO編集部の取材によれば、岡田監督は、こんな話をしているという。
――80勝をVラインとすれば、かなり余裕をもって戦えるのでは?
「いやいや。過去に2度、80勝を越えて勝てなかったからな」
巨人に13ゲーム差をひっくり返された2008年は82勝59敗3分(144試合制)で2位。最終的には巨人と2ゲーム差だった。連覇を狙った2006年も84勝58敗4分(146試合制)で中日に3.5ゲーム差をつけられて2位に終わっている。当時とは、ライバルチームとのゲーム差もチームの状況もまるっきり違うのだが、岡田監督は「勝負事の怖さ」を存分に知っている。自信と余裕はあっても油断などない。
元西武、ヤクルトの監督として“日本一”を経験している広岡氏は「阪神の優勝は間違いない。もうXデーを待つだけだ」と18年ぶりの“アレ”に太鼓判を押した。
「阪神と広島では監督、コーチの経験が違う。岡田の采配は輝いている。選手個々の能力を把握して、その能力を最大限に引き出している。1試合、1試合の采配だけでなく長いシーズンを計算した上で、この9月に向けて4月、5月からいくつもの布石を打ち、夏場には選手をうまく休ませチームを完成させてきた。現役時代に苦労した努力の人である新井は新井でチームをうまく勢いに乗せてきた。私は彼を監督として評価するが、まだ1年目。コーチングスタッフを見ても若い。目先の試合にこだわりながら、なんとかここまで来たが、9月の戦いなど計算に入っていなかったのだろう。ベテラン監督と1年生監督の差が今の阪神と広島の違い。ここで阪神が大きくこける不安要素もない」
広岡氏が指摘するように監督就任1年目の新井監督は46歳で藤井ヘッドも学年で言えば同級生の47歳。1軍のコーチングスタッフは全員が40代以下で新井監督より学年が上なのは2歳上の菊地原投手コーチだけだ。
一方の阪神は65歳の岡田監督の経験値は語るまでもなく、64歳の平田ヘッド、61歳の嶋田バッテリーコーチは、2005年の優勝時とまったく同じコーチのポジション。そこに阪神のユニホームを着たことがなく、他球団での経験豊富な58歳の馬場内野守備走塁コーチ、54歳の水口打撃コーチ、そして2005年の優勝を選手として体験し、ロッテで2軍監督、コーチ経験のある今岡打撃コーチ、矢野体制から残留した藤本内野守備走塁コーチがいて、1軍のスタッフは初経験となる安藤、久保田の両投手コーチをカバーするというバランスの取れた配置となっている。