「本当にデビューしたばかりなのか?」ボクシング転向第2戦を前に那須川天心がカシメロ、ロマゴンとの世界戦経験のあるメキシコ人ボクサーを公開スパーで圧倒
相手が9戦全勝(7KO)のフアン・フローレス(23、メキシコ)から現役のメキシコ国内バンタム級王者で12戦10勝(6KO)2敗の戦績を持つルイス・グスマン (27、メキシコ)に変更になった。フローレスの新型コロナ感染による緊急変更だったが、グスマンは最終候補に残っていた2人のうちの一人で9月1日に国内タイトルの防衛戦を予定していたためスムーズに代役になった。天心に動揺はない。
「とくに変わらない。この試合のためにトレーニングを重ねているわけでもない。相手に合わせるよりも今後を見据えて自分のやりたいことを全部できるような練習を常にしている。ただしっかりと勝ちきらねばいかない。圧がある。一発をもらったら危ないが当てさせない。自分のぺースでどれだけできるか。気で負けたくない」
まだデビュー2戦目だというのに天心には危機感がある。
「ここで、いい結果を出すか出さないかで今後の注目のされ方が違ってくる。この試合にどんな勝ち方をするかで、那須川天心の見方を提示できる。こういうスタイルで、こういうボクシングをやっていくんだというのをみんなに見せたい。今回の試合までの5か月間は、自分の中では冬眠のイメージ。やってきたことの集大成、ためてきたものを爆発させて日本を元気にしたい」
特に伝えたいメッセージは「変化」だという。
「人間が5か月、本気でやれば変わるということを見せたい。変化ですね。僕は人生と格闘技が別だとは思っていない。言葉でうまく表現できる方ではないので、見てわかるというか、体現者になりたい」
この日、天心は、髪の毛を黒く染めていた。
今回の試合に向けたモノクロのポスターも、どこかオールドスタイルで、ボクシング界の常識を覆そうとしている25歳の天心と、そのボクシングの伝統を示すイメージのミスマッチが、とてもはまっているクールなデザインだった。
「試合で(髪を)染めるかどうか。黒いと楽なんですが、染めると頭皮にダメージがねえ」
頭皮を気にする天心を応援するかのように育毛、発毛剤や薬用シャンプーなどで知られる「スカルプD」がスポンサーについたという。ちゃっかり宣伝を忘れていなかった天心の入場時の髪の毛の色に…いや、その「倒す」「見せたい」と公言するほど進化した天心のファイトに注目したい。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)