阪神の大竹が“カープキラー”の本領を発揮して10勝目。打っては奇策のバスターを決めて自らを援護した(資料写真・黒田史夫)
“神采配”連発の岡田監督は「新井カープに負けない」ことを予告していた…なぜ阪神は7連勝で広島に事実上の“引導”を渡しマジックを「7」に減らすことに成功したのか?
3月30日の開幕前日会見で、岡田監督は、こんな話をしていた。
「まだまだ完成されたチームじゃない。だんだん強くなっていくチーム。143試合の中で4月より5月、5月より6月、試合を追うごとに徐々に力をつけていって、8月、9月には、今よりずっと素晴らしいチームになっていると思う」
9月の戦いに向けて、力をつけ、そこでラストスパートのできるチームを完成させる。そのための年間プランを岡田監督は周到に準備していたのである。
監督1年目の新井監督は、優勝を本気で考え、春季キャンプからそこまでの準備をしていたのか。ビハインドの展開でも勝利パターンの投手を躊躇なく投入してきた新井監督の「明日なき戦い」の采配を見て、岡田監督は広島との準備力の違いを感じ取り、9月の戦いのどこかで反動が生まれ、“燃料切れ”になることを察知していた。この時、岡田監督は、大竹のローテ―をずらし、相性のいい広島戦にぶつけることを準備していた。
開幕ローテ―に入らなかった村上と「第5、第6の先発」として考えていた大竹の2人で広島との直接対決に連勝、2人は揃って10勝をクリアした。彼らの成長は岡田監督にすれば、想定外だったのかもしれないが、先発を6人ではなく8、9人作るという発想と準備に2人が出てくる下地はあったのだ。
岡田監督は、マジックが減る戦いを「もう少し楽しみたい」と笑った。
緊張感のある、この経験が若い選手の血となり肉となることを知っている。そして何より10年間の充電を経て、現場に帰ってきた根っからの“野球小僧”である岡田監督は、このしびれるような9月の戦いをもっと堪能したいのである。だが、岡田監督が、そう思えば思うほど“アレ”へのマジック減らしは加速するのかもしれない。(文責・RONSPO編集部)