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4大会連続出場のリーチ マイケルも快勝したチリ代表戦でトライを決めた(写真:志賀由佳/アフロ)
4大会連続出場のリーチ マイケルも快勝したチリ代表戦でトライを決めた(写真:志賀由佳/アフロ)

「ポジティブな試合になった」ラグビーW杯初戦のチリ戦で42-12快勝スタートを切った日本が得たボーナスポイント以上の収穫とは?

 ラグビーW杯フランス大会のプールDの第1戦が10日行われ、日本代表はトゥールーズで初出場のチリ代表と対戦して42―12で快勝し白星スタートを切った。初戦独特の緊張からか先制トライを許すも、地力で上回る日本代表はトライを6つ重ね、4トライ以上に加算されるボーナスポイントもゲットした。勝ち点5でプールDの暫定首位。日本代表は日本時間18日、初戦でアルゼンチンを撃破している強豪イングランド代表と対戦する。

 「チリのパッションあふれるプレーに学ぶことも多かった」

 

 W杯フランス大会の初戦を前にしたウォーミングアップ。ひとつの練習メニューを終えるたびに、彼らは固く円陣を組んだ。そこでは訓示が行われていた。
発言者のひとりはスタンドオフの松田力也。何を話していたのか。
「試合を通してどんな時も皆で同じ絵を見られるように、ハドル(円陣)で互いに目を合わせて喋ることを意識しました。リーダーがやることのポイントを伝え、皆がそれを実践するように」
 会場のスタジアム・ド・トゥールーズは強い日差しに包まれ、長渕剛の「とんぼ」をはじめとした多国籍のBGMが流れ、何より、観客が飛び跳ねていた。
 試合が始まれば、約3万人ものファンが「アーレ! アレアレアレ!」とサッカー会場のような歌声を響かせ、時にはフランス国歌まで熱唱した。ボルテージを上げた。相手は情熱的な南米の雄。初出場のチリ代表だった。
 そのチリ代表を、日本代表は42―12で制した。4トライ以上で得られるボーナスポイントを含めた勝ち点5をマーク。予選プールDで、ひとまず暫定首位に立った。
 この勝利を、現場はどう受け止めたか。

 まず口を開いたのは、スクラムハーフの流大副将だ。
 主将でナンバーエイトの姫野和樹が、左ふくらはぎの負傷で当日になって先発を回避したことを受け、ゲーム主将を任されていた。
 無事にオープニングゲームで結果を出したこと、対する初出場のチリ代表がぶつかり合いや、単発のランで光ったことを丸め込むようにして言った。
「グラウンドにいる選手は何もパニックになることなく、自分たちのゲームをコントロールすることに重きを置いていた。この試合、ビッグスコア(大差)で勝とうとなんて思っていなくて、ひとつひとつのプレーを積み重ねることにフォーカスしていました。でも、チリ代表はフィジカルで、我慢強いチーム。パッションあふれるプレーから学ぶことも多かった。その意味でも、ポジティブな試合でした」

 日本代表は終始、足踏みした。試合前には、あれほど仲間同士で繋がり、平常心で戦うことを目指したのに、どこか浮足立っていた。
 前半6分。アウトサイドセンターのディラン・ライリーが、相手走者へ飛びつこうとして外された。大きな突破を許した。その流れで先制点を奪われた。
 19分、24分には、敵陣ゴール前で、モールを組むもその塊が分断。チリ代表に破壊させられたり、球を盗まれたりし、得点機を逃してしまう。
 さらに同35分には、右タッチライン際のスペースを切り裂いたウイングの松島幸太朗がゴール前で孤立。サポートが遅れるなかで、相手のジャッカルを食らい、アタックを継続できなかった。その直前までの10分間を含む計20分間、相手は一時退場処分により14人で戦っていた。本来ならその分だけ、圧倒して突き放すタイミングがあったとも取れる。

 

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