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トルコを4-2で撃破した森保ジャパン。先発出場した久保建英が躍動した(写真・アフロ)
トルコを4-2で撃破した森保ジャパン。先発出場した久保建英が躍動した(写真・アフロ)

森保Jの問題点を城氏が指摘「10人入れ替えのトルコ戦ではドイツ戦で成果を出した新しい戦術コンセプトが見られなかった」

 

アウェーで強豪ドイツ、ユーロ予選の上位にいるトルコに連勝したことは、チームの自信につながったと評価していい。ドイツ戦とトルコ戦を比べるとサッカーの“質”がまるで違っていたという課題はあるが、チームの選手層と新たなる戦術への取り組みという点で、昨年のカタールW杯時よりもレベルアップしていた。
 森保監督はトルコ戦でメンバーを10人入れ替えた。ドイツ戦から中2日の強行軍というスケジュールもあり「招集しても使わない」という批判を受ける機会が多かった森保監督にしては珍しくチャレンジした。2026年北中米W杯は出場国が32か国から48か国に拡大され、アジアの出場枠も4.5から8.5に増える。森保監督は予選の突破は問題なくクリアできるとの判断のもと、大胆なテストができるようになったのではないか。多くの選手に出場機会を与えることで、チームの選手層が厚くなりレベルアップの可能性が広がる。

 久保の躍動とバックアップメンバーの実力差

 

 ただメンバーが変わったことでドイツ戦に比べてサッカーの中身まで変わり、その質や連携力が落ちてしまっていた。4日前にユーロ予選のアルメニア戦に引き分けたトルコは、前半はリズムに乗れなかったし、インテルで活躍している司令塔のチャルハノールも前半は出ていなかった。その前半に日本は3-1とリードしたが、後半には、押し込まれてしまう時間帯が多かった。
 現地ベルギーの気温が27度まで上がったことで体力を奪われ、失点を恐れて守りに入り、初出場の町田、谷口のCB2人がディフェンスの最終ラインを下げてしまったことでボランチとの間にスペースができる形になった。1点差にされてから遠藤、そして冨安が入り、システムの修正に成功して、ガラっとディフェンスが良くなったが、ドイツ戦のメンバーとバックアップメンバーの実力にはまだまだ差があることが明確になった。
 カタールW杯に続き、W杯優勝国であるドイツを4-1で下した試合では、森保ジャパンは、新たな戦術に取り組み結果につなげていた。どこでどうボールを奪い、どう攻めるかという、これまで曖昧だったチームコンセプトをハッキリさせて意思統一したのだ。
 具体的には、センターサークルから前へ行かず、上田と鎌田を前に出して2トップでチェイシングする。守備隊形としては、まず中を締め、縦パスを防ぎ、そこからサイドへと展開する。プレスバックを行い、前を向かせない守備を心掛けて、相手のミスを誘い、ボールを奪い、そこから自分たちのリズムでパスを回して攻撃へ転じる。加えて選手と選手のコンパクトな距離感を保つことを意識することで、守備から攻撃へ切り替える際のミスが減りスピードも増す。その“約束事”を全員が徹底して実践し結果につなげた。
 だが、対照的にトルコ戦では、その“約束事”がまったく見えなかった。新しい顔ぶればかりで、そういう“約束事”を練習で落とし込むこともできていなかったのだろう。ただW杯のベスト8の壁を打ち破るためには、どのメンバーの組み合わせになってもチームコンセプトを貫ける完成度が求められる。
 その中でアピールに成功した選手や印象的なプレーもあった。とりわけ目についたのは久保のコンディションの良さだ。先制点も久保がバイタルエリアで右から左にボールを大胆に動かした後に、伊藤敦と堂安のワンツーで崩して奪ったものだったし、2点目も、久保の無回転のミドルに戸惑ったGKが弾いたボールに中村敬が詰めたゴール。3点目も毎熊のクロスに対して古橋と久保が走りこんで相手ディフェンスを引き付けて、中村敬の2点目ゴールを演出していた。トップ下で起用されていたが、本来は、右でプレーしたいんだと思う。堂安と久保はフレキシブルにポジションを動かし、久保が右でプレーしている時間が長かった。
 後半から出場した伊東は、1点差に詰め寄られ、嫌な流れになっていた後半33分にスピードを生かした個人技で右サイドを一人で突破。ペナルティを誘い、自らPKを決めてトルコに引導を渡した。一人で何かをできる伊東はスタメンから外せないだろう。

 

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