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巨人に連勝してマジック「1」とした阪神の岡田監督。巨人との明暗はどこにあったのか?(資料写真・黒田史夫)
巨人に連勝してマジック「1」とした阪神の岡田監督。巨人との明暗はどこにあったのか?(資料写真・黒田史夫)

「岡田監督の輝く采配力と原監督の“器”の差」…阪神がついに“アレ”へマジック「1」…球界大御所が語る阪神と巨人の明暗

 阪神が13日、甲子園で巨人に4-0で快勝して9月負けなしの10連勝、広島がヤクルトに負けたことで“アレ”へのマジックがついに「1」となった。阪神は3回に佐藤輝明(24)の満塁弾で先制し、6回を投げ切った先発の青柳晃洋(29)から3投手が継投しての“完封リレー”。今日14日の巨人戦に阪神が勝てば優勝。負けても広島がヤクルトに敗れれば、阪神の18年ぶりの優勝が決まり、引き分けの場合は、広島が勝てば優勝が持ち越しとなるが、引き分けた場合には優勝が決まる。

 「相手を見るよりも自力でね。それの方がわかりやすい」

 

 もう神がかっている。
 3回一死満塁。
「絶好のチャンスだったので積極的に振っていこうと思って打席に入った」
 サトテルは、原監督が無死満塁で大山を迎えたところで、早くも継投に打って出た2番手、松井の高めに浮いたシンカーを見逃さなかった。松井はストレートをコントロールできていなかった。変化球を頭に入れていたのだろう。
 打球はバックスクリーン右のスタンド最前列へ。5月14日の横浜DeNA以来となるグランドスラム。甲子園にはライトからレフトへ強い浜風が吹いていた。2回の第1打席は、その風に押し戻され、本塁打性の打球が、惜しくもバックスクリーン前のフェンスの上に当たる二塁打。「2打席目は風に負けないように」とフルスイングしたという。大きな先制の4点。ベンチ前でキャッチボールをしていた先発の青柳は「テル、最高!」と大喜びしていた。
 9月絶好調の佐藤はここにきて今季初の猛打賞である。
 青柳は2回に一死一、二塁のピンチを作った。岡田の強烈なピッチャー返しをグラブで弾いたが、その打球がノーバウンドで、まるでバレーボールのトスのように中野のグラブに収まり、そのまま二塁ベースを踏んで併殺が成立した。
 5回にも一死一塁から、また岡田の打球を大山が弾いたが、それがちょうど中野のポジションへのふわっとしたフライになった。中野はキャッチして一塁べースに戻った大山に素早く転送してアウト。まるで野球の神様が「早くアレを決めろ」と言っているような神がかった二つのプレーだった。
 青柳は6回まで無失点に抑えてはいたが決して良くはなかった。岡田監督の見極めは鋭い。
「ちょっとボール球も多かったが、うまくゲッツーを取った。無様なピッチングはできないでしょうからね。昨日もリリーフ投げていないし2日開いていたんで、ちょうど打順的にも回ってきたんで代えました」
 7回からブルワーにスイッチ。岡本、坂本を連続三振に斬って三者凡退に抑えると、8回は桐敷、9回はセーブシチュエーションでなかったことから岩崎を温存して、石井を繰り出しての完封リレー。阪神盤石のブルペンに巨人打線は沈黙するしかなかった。
 9月負けなしの10連勝。しかも、全試合先発に勝ち星がついた。この時点でマジック「2」だったが、神宮球場で広島がヤクルトに負けて6連敗となり、ついにマジックは「1」になった。岡田監督は、今日14日の巨人戦での自力Vの可能性が生まれたことを素直に喜んだ。
「目の前の試合のひとつひとつの積み重ねが、こういう形になった。相手を見るよりも、自力でね。それの方がわかりやすいんで」
 岡田監督は18年も遠ざかった“アレ”の瞬間を「甲子園の多くのファンに喜んでもらいたい」と、ずっと願っていた。

 

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