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佐藤輝明の打撃をベンチから見守る岡田監督。6月25日には2軍に降格させた
佐藤輝明の打撃をベンチから見守る岡田監督。6月25日には2軍に降格させた

【緊急連載】阪神の佐藤輝明「2軍降格事件」の衝撃真相とは?…岡田監督が“サトテル”に伝えたかったこと

 

 岡田監督は、打つ打たないの結果ではなく、野球人としてあるべき姿、佐藤の存在がチームに与える影響を、2軍落ちという荒療治で“サトテル”とチームに伝えたかったのである。このとき、チームは負けがかさみ、2位の横浜DeNAに0.5差に迫られていた。
 まさに「一人ひとりが普通にやるべきことをやり、全員で勝つ」という岡田監督が重要視してきたチームコンセプトを象徴する衝撃的な出来事だったのである。
 ただ岡田監督は佐藤に直接には何も話していない。平田ヘッドが佐藤に「プレー以外のところも見られているぞ」と、遠回しに伝えたのみである。
 それは佐藤が自分自身で気づかねばならないことだと岡田監督は考えていた。佐藤は、6月25日に、さっそくウエスタンリーグの中日戦で「5番・サード」でスタメン出場して猛打賞。結局、佐藤はファームで圧倒的な数字を残して、最短の7月5日に1軍に再昇格した。巨人戦で死球を受けた近本が肋骨を骨折して戦線離脱することになるという、チームの緊急事態を受けての前倒しでの最短10日間での再昇格だった。
 佐藤は、8月も16日の広島戦でスタメンから外されるなど不安定さを脱却できなかった。それでも岡田監督は、佐藤のポテンシャルに淡い期待を寄せて我慢起用を続けた。そして岡田監督はマジックが点灯した頃から佐藤の姿勢に変化が生まれ始めたことを感じ取っていた。8月29日の甲子園での横浜DeNA戦で、8回に二塁打を放った佐藤に岡田監督は代走熊谷を送った。佐藤は、試合途中でベンチに下がったが、彼の大きな声が聞こえてきたのだ。佐藤はベンチから選手を激励する声を必死に出していた。
 岡田監督は佐藤の姿勢の変化がうれしかったという。
 そして時を同じくして眠っていた佐藤のバットが火を噴きだした。
 18年ぶりの“アレ”を達成した14日の巨人戦で、片手を放しながら6回にバックスクリーンへ20号2ランを叩き込んだ。新人から3年連続の20号突破は史上7人目、左打者としては史上初となる快挙だという
 佐藤は、その日、取材ゾーンで「僕史上で一番最高な日。個人のことはどうでもいい。勝ったことがうれしい」というコメントを残している。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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